その他
IPv6の“ブレイク”は06年頃 移行ガイドライン案まとまる
2004/01/26 15:00
週刊BCN 2004年01月26日vol.1024掲載
次世代インターネット技術「IPv6」の開発者や企業で構成するIPv6普及・高度化推進協議会(村井純・慶應義塾大学教授)の「移行に関する分科会」はこのほど、「IPv6移行ガイドライン(案)」をまとめた。ガイドラインは、「IPv4からIPv6への移行方法がわからない」との声に応え、企業や家庭でのシステム構築に携わるシステムインテグレータなどが活用する具体策を例示した。総務省でもこのガイドラインを参考にIPv6の実証実験を開始する。IPv6技術を利用した日本発の新ビジネスが、予想以上に早く花開くことになりそうだ。(谷畑良胤●取材/文)
総務省の実証実験ともリンク
■企業・自治体は段階的に移行
「今年は重要な年になる」──。「IPv6移行ガイドライン(案)」をまとめた「移行に関する分科会」主査でインテック・ネットコアの荒野高志・専務取締役は、国内IPv6の普及に向け今年がカギになるとみる。ガイドラインでは、国内のIPv4とIPv6の普及比率が5対5になる時期を特定していないが、「2004-05年内に5対5になり、06年は一気に“ブレイク”する」(荒野専務)との考えが、同分科会で共通の認識になっているという。
ガイドラインは、この普及比率が5対5になる前段階の移行方法を、(1)家庭、(2)SOHO、(3)企業・自治体、(4)ISP(インターネット・サービス・プロバイダ)の4つのセグメント別に集約。
各セグメントでは、システムを構築するシステムインテグレータや家電業界などに利用を促すために、IPv6への移行を円滑に行う上でのネットワークや典型的なシステム、アプリケーション構成、セキュリティの考え方、導入のメリット──といった具体的なモデルが示されている。
大企業・自治体セグメントでは、企業などでIPv4からIPv6に移行するパターンとして、2つの考え方を示している。1つは、既存ネットワークの段階的なIPv6化を続けて、基幹ネットワークをすべてIPv4とIPv6を共存させる「デュアルスタック」に対応させる「段階置換型」。もう1つは、新規に「デュアルスタック」ネットワークを構築し、既存ネットワークと融合させ、徐々にトラフィック(データ流通)を移行する「独立融合型」が、「過渡期的な導入方法として有力」と提唱されている。
いずれのパターンも「現状のシステムを一気に変更したくないという企業ニーズに応えて、IPv6を段階的に導入して、安定稼動に向かう」(荒野専務)という妥協が取られた形だ。
一方の家庭セグメントでは、ネット家電でIPv6に対応した製品がまだ少ないため、家庭内LANでゲーム機や白物家電、携帯電話、AV(音響・映像)機器など、機器同士で通信を行う場合のIPv6利用シーンが想定されている。ここでは、「IPv6」対応機器がIPv4へのアクセスを可能にする「トランスレータ」製品が重要な役割を担うことになる。
今回、試案として示されたガイドラインは2月16日の「IPv6ビジネスサミット2004」(実行委員長=秋草直之・富士通会長)で最終報告される。このガイドラインは移行の進度に合わせ毎年更新するが、総務省が03年度から3年計画で進めているIPv4からIPv6への移行に関するモデル実証実験「インターネットのIPv6への移行の推進」ともリンクさせる。
■日本がイニシアチブを
総務省は、「相互で情報をフィードバックして、移行のスタンダードを日本発の基盤技術として世界に発信する」(山路栄作・総合通信基盤局電気通信事業部データ通信課インターネット戦略企画室課長補佐)と、IPv6の普及で日本の企業連合が世界でイニシアチブを握る方向を見定めている。
IPv6普及・高度化推進協議会は近く、中国や韓国のIT企業と「アジアパシフィックIPv6タスクフォース」を立ち上げ、今回のガイドラインをアジア地域にも普及させる。昨年11月には、日中韓の情報通信担当大臣がIPv6で共同歩調を取る「覚書」が交わされ、アジアでの「IPv6」普及も進む見込み。総務省は「急速に普及が進みそうな感触がある」(山路課長補佐)と、昨年8月の「情報通信審議会」がまとめた「IPv6発展期は07年から」という予想は、すでに1年早まっていると見る。
移行に向けた残された課題が少なくなり、日本のIPv6技術が、企業や家庭のインフラを革新するビジネスの波になるのは確実だろう。
次世代インターネット技術「IPv6」の開発者や企業で構成するIPv6普及・高度化推進協議会(村井純・慶應義塾大学教授)の「移行に関する分科会」はこのほど、「IPv6移行ガイドライン(案)」をまとめた。ガイドラインは、「IPv4からIPv6への移行方法がわからない」との声に応え、企業や家庭でのシステム構築に携わるシステムインテグレータなどが活用する具体策を例示した。総務省でもこのガイドラインを参考にIPv6の実証実験を開始する。IPv6技術を利用した日本発の新ビジネスが、予想以上に早く花開くことになりそうだ。(谷畑良胤●取材/文)
続きは「週刊BCN+会員」のみ
ご覧になれます。
(登録無料:所要時間1分程度)
新規会員登録はこちら(登録無料)
ログイン
週刊BCNについて詳しく見る
- 注目のキーパーソンへのインタビューや市場を深掘りした解説・特集など毎週更新される会員限定記事が読み放題!
- メールマガジンを毎日配信(土日祝をのぞく)
- イベント・セミナー情報の告知が可能(登録および更新)
SIerをはじめ、ITベンダーが読者の多くを占める「週刊BCN+」が集客をサポートします。
- 企業向けIT製品の導入事例情報の詳細PDFデータを何件でもダウンロードし放題!…etc…