その他
富士通、プラットフォームで海外展開加速 「トリオーレ」検証センターを開設
2004/11/29 21:12
週刊BCN 2004年11月29日vol.1066掲載
富士通(黒川博昭社長)が、プラットフォーム事業のグローバル展開に力を注ぎ始めている。UNIXサーバーを中心とした海外展開の加速とともに、ミドルウェア「トリオーレ」についても、海外に検証センターを開設するなど、その地盤づくりに入った。今年6月以降、サン・マイクロシステムズ、マイクロソフト、SAPなどと相次ぎ発表した提携戦略も、富士通のグローバル戦略を後押しすることになるだろう。中間期決算ではプラットフォーム事業の伸長が顕著だった富士通だが、今後のさらなる成長には、グローバル戦略が不可欠だとして、同分野への取り組みを積極化させる考えだ。グローバル戦略を強化する狙いを探った。(大河原克行(ジャーナリスト)●取材/文)
サンやSAPと相次ぎ提携
■海外ではUNIXサーバーが牽引
富士通の伊東千秋取締役専務は、「プラットフォーム事業の成長には、グローバル戦略が不可欠」という。いや、それだけではない。「今後のプラットフォーム事業の方向性を決定するうえでは、グローバル展開が可能かどうかを1つの選別基準にする」とまで言い切る。
現在、富士通全社における海外事業比率は約3割。国産コンピュータメーカーのなかでは進んでいるが、同様に電子部品などを取り扱っている国産家電メーカーなどと比較すると、まだまだ拡大の余地はあるとの言い方もできる。
つまり、富士通が今後、業績を拡大していくうえでは海外事業の拡大が大きなポイントであり、電子デバイスや通信事業に加え、コンピュータ分野でも海外事業の拡大が不可欠といえる。その点で、プラットフォーム事業は、コンピュータ分野のグローバル化において、先陣を切る役割を果たすことになる。
実際、プラットフォーム事業のグローバル化では、すでに実績が出始めている。
ドイツに富士通シーメンス、英国に富士通サービスを持つ欧州エリアでは、UNIXサーバーやパソコンなどが順調に業績を拡大しており、これがグローバル戦略の足がかりになっているからだ。
「10月は、UNIXサーバーの全出荷量のうち約8割が海外。上期全体でも約6割が海外出荷による」(伊東取締役専務)という。
今後は、米国に拠点を持つ富士通コンピュータシステムズにも、UNIXサーバーやIAサーバーなどの事業を強化することで実績を引き上げたい考えだ。
「マイクロソフト、オラクル、SAPの3社とグローバルパートナーの契約を結んでいるのは、日本のメーカーでは唯一当社だけ。また、サン・マイクロシステムズとの包括的提携も、グローバル戦略を推進するうえで世界市場に与える影響は大きい。これらの提携も生かしていきたい」と、伊東取締役は今年6月以降の相次ぐ大型提携もプラットフォーム事業のグローバル化に大きく貢献すると見ている。
■ミドルウェアをハード事業につなげる
この実績をさらに加速させるために、同社が今後最重点課題として取り組んでいくのが、ミドルウェアのグローバル戦略だ。
決算上はソフト・サービス部門に計上されるミドルウェアだが、事業分類上はプラットフォーム事業に分類される。それは、アプリケーションやサービスが地域性に依存するのに対して、ミドルウェアはハードウェア同様にグローバル化が可能な領域だと判断しているからだ。
「ユーザーに提供できるのはハードウェアだけで、管理ソフトは他社のものを供給するというのでは当社の強みが発揮できない。他社にない特徴を持ったミドルウェアを自らが提供することで、ハード事業の強みにつなげたい」という。
すでに、英国にトリオーレの検証センターを開設し、ここからユーザーの要求に合わせた機能強化にも取り組んでいる。この仕組みは今後、ドイツ、米国にも広げる方針だ。
同時に、開発から管理までのプラットフォームも「Eclipse」ベースによるオープン化を図る一方、ミドルウェアのマルチベンダー対応も積極化する姿勢を示している。
今後の富士通のプラットフォーム事業の成長のカギを握るのは、ミドルウェアのグローバル化の成否次第だと言えよう。
富士通(黒川博昭社長)が、プラットフォーム事業のグローバル展開に力を注ぎ始めている。UNIXサーバーを中心とした海外展開の加速とともに、ミドルウェア「トリオーレ」についても、海外に検証センターを開設するなど、その地盤づくりに入った。今年6月以降、サン・マイクロシステムズ、マイクロソフト、SAPなどと相次ぎ発表した提携戦略も、富士通のグローバル戦略を後押しすることになるだろう。中間期決算ではプラットフォーム事業の伸長が顕著だった富士通だが、今後のさらなる成長には、グローバル戦略が不可欠だとして、同分野への取り組みを積極化させる考えだ。グローバル戦略を強化する狙いを探った。(大河原克行(ジャーナリスト)●取材/文)
続きは「週刊BCN+会員」のみ
ご覧になれます。
(登録無料:所要時間1分程度)
新規会員登録はこちら(登録無料)
ログイン
週刊BCNについて詳しく見る
- 注目のキーパーソンへのインタビューや市場を深掘りした解説・特集など毎週更新される会員限定記事が読み放題!
- メールマガジンを毎日配信(土日祝をのぞく)
- イベント・セミナー情報の告知が可能(登録および更新)
SIerをはじめ、ITベンダーが読者の多くを占める「週刊BCN+」が集客をサポートします。
- 企業向けIT製品の導入事例情報の詳細PDFデータを何件でもダウンロードし放題!…etc…