その他
岩手県水沢、花巻、北上3市で共同運用 住基カード利用の証明書自動交付システム
2004/12/06 21:12
週刊BCN 2004年12月06日vol.1067掲載
岩手県水沢市(高橋光夫市長)、花巻市(渡辺勉市長)、北上市(伊藤彬市長)の3市は2005年1月にも住民基本台帳カード(住基カード)を活用して、証明書などの自動交付サービスや公共施設予約システムの共同運用に乗り出す。3月末までを実証実験の期間とし、来年度から本格運用を図る考えだ。全国的に、住基カードの普及が進んでいない。住民票の交付以外にも用途を開拓することで普及する可能性はあり、水沢市では8つのアプリケーションを搭載している。共同運用では、利用できるサービスが限られるが、住基カード普及の1つの解決策になる期待がある。(川井直樹(本紙副編集長)●取材/文)
来年3月末まで実験、4月から実用化
■共同化で運用コスト削減
水沢市は、住基カードへのアプリケーション搭載を進めており、花巻市、北上市との共同運用により両市のIT化に貢献するとともに、サーバー運用コストの削減を図る。今回の事業については、地方自治情報センター(LASDEC)の開発事業として支援を受けて行う。
水沢市は、住基カードが登場する以前、00年9月から非接触ICカード「Zカード」を市民向けに配布し、キオスク端末を使った証明書交付サービスなどを行ってきた。03年8月25日に住民基本台帳ネットワークシステム(住基ネット)の本格稼動に合わせ、住基カードに証明書交付や施設予約、市立の総合水沢病院の再来予約サービスなど8項目のアプリケーションを搭載。今年4月から、従来のZカードから住基カードへの置き換えを進めている。証明書交付の利便性を高めるため、市内8か所にキオスク端末を設置し、365日の証明書交付を実施している。
今回、水沢市とともに「岩手県中部地区電子自治体推進協議会」を構成する花巻市、北上市にも住基カードを使った証明書自動交付などのサービスが始まることになる。年内は準備期間として、05年1月から実験を開始。来年度のスタートとともに実用に移行する計画だ。住基カードにアプリケーションを搭載するために、それぞれの項目ごとに条例を制定する必要がある。そのため、1-3月中に花巻市、北上市での条例制定が必要になる。
共同運用では、水沢市がアプリケーションサービスをLGWAN(総合行政ネットワーク)-ASPとして提供することになる。水沢市では、住基関連のサーバーの保守費用などに「年間700万円程度」(水沢市の担当者)を支出している。花巻、北上両市との共同運用により、「負担率は決めていないが、相応の負担をしてもらうことで水沢市としては経費減になる」(同)と運用コストの削減が図れる。
■“便利さ”が普及のカギに
住基ネットについては一部で、システムのセキュリティの問題から個人情報漏えいへの懸念を持つ自治体があり、住基ネットに接続していないケースもある。また、住基カードの交付が始まっても、既存の行政ICカードがあるため普及が進まない自治体も少なくない。
東京都世田谷区では、出張所改革の一環として各出張所などにキオスク端末を置き、住民票や印鑑登録証明書などを発行できるように11月から段階的に整備を進めている。この場合、「区で一番普及しているのが印鑑登録証明のカード」(世田谷区の担当者)としてメインをそちらにし、住基カードについては「印鑑登録証を持っていない区民が使えるようにする」と、住基カードは補助的な扱い。
東京23区のある担当者は、「区では発行手数料が1000円で、補助のある地方の500円の2倍。それだけで住基カードを取ろうという気にならないのでは」と区部で普及が進まない理由の一端を明らかにする。また、自治体関係者の多くが、「1人が年間何枚の住民票を取るか。そのための設備投資となると考えざるを得ない」と厳しい財政事情もあり、必ずしも積極的ではない。また、「商店街利用でのポイント付加など町の活性化に役立つ手段にする期待もあるが、議会承認の手間やセキュリティを考えると二の足を踏んでしまう」というのも行政サイドから見れば当然だろう。住基カード普及には、発行する側も使う側にも“便利さ”がなければならない。
水沢市では既存カードから住基カードへ置き換えるなど、住基カード利用には積極的な自治体の1つ。花巻市、北上市とのLGWAN-ASPによる共同運用が順調に行き経費削減ができれば、他の自治体でも同様の取り組みに乗り出す期待が出てくる。
岩手県水沢市(高橋光夫市長)、花巻市(渡辺勉市長)、北上市(伊藤彬市長)の3市は2005年1月にも住民基本台帳カード(住基カード)を活用して、証明書などの自動交付サービスや公共施設予約システムの共同運用に乗り出す。3月末までを実証実験の期間とし、来年度から本格運用を図る考えだ。全国的に、住基カードの普及が進んでいない。住民票の交付以外にも用途を開拓することで普及する可能性はあり、水沢市では8つのアプリケーションを搭載している。共同運用では、利用できるサービスが限られるが、住基カード普及の1つの解決策になる期待がある。(川井直樹(本紙副編集長)●取材/文)
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