マイクロソフト(マイケル・ローディング社長)は、中小企業向け商材に占めるサービス・サポートの構成比を、今後3年以内をめどに約2割へ高める。これまではパッケージソフトのライセンス販売がほぼ100%を占めていたが、今後は教育サービスや設置・環境設定、サポートなどのサービス商材をパッケージソフトの中に組み込む形で販売。サービス・サポートを収益事業に育成する。今年度(2005年6月期)末までサービス商材の販売手法の検証を進め、来年度からの本格導入を目指す。
中小企業のIT利活用を促進
マイクロソフトは、サービス・サポートを、パッケージソフトのライセンス販売に並ぶ重点商材と位置づけ、中小企業のIT利活用の促進につなげる。
同社では中小企業のIT化施策「全国IT推進計画」を支える全国約300社のパートナー組織「IT推進全国会」を通じて、中小企業のIT化を進めている。パートナーはパッケージソフトのライセンス販売だけでは粗利率が限られていることから、これまでにも独自にサービス・サポートの拡充に力を入れてきた。
だが、中小企業からサービス・サポートの対価を得ていくのは「容易ではない」(マイクロソフトの眞柄泰利執行役常務)のも事実で、これによるパートナー収益力の弱体化が、中小企業のIT利活用促進の足かせとなっていた。
今年2月に中小企業向けサーバー製品「スモールビジネスサーバー2003(SBS2003)」の出荷が始まったが、利用状況を見ると「ファイルサーバーやプリントサーバーなど基礎的なものが多い」(同)と、高度な利活用に至っていない。上位製品にはデータベースソフトが同梱されているものの、十分に活用されていないのが現実だ。
こうした状況に対応しマイクロソフトでは、あらかじめマイクロソフトの中小企業向けパッケージ製品の中にサービス・サポート商材を同梱し、確実に売り上げに結びつく仕組みの導入に向けた検証を始めた。検証はマイクロソフトが12月10日から開始した「スマートビジネスキャンペーン」の一環として行う。
具体的には、SBS2003を中核としたサーバーソフトウェアとハードウェアに加え、活用教育、設置・環境設定、サポートなどをパッケージ化し、3-4年のリース契約で総額約50万円の商材に仕立てた。この中に含まれるサービス・サポートを金額で換算すると10万円分相当になる。
今年度(2005年6月期)末まで、サービス・サポートの構成内容や価格、販売方法などの検証を続け、来年度からの本格導入を目指す。今後3年以内をめどに、中小企業向け売上高に占めるサービス・サポート商材の比率を約2割にまで高める。これまでは、ライセンス販売が中心だったため、マイクロソフトの中小企業向け商材としては「ゼロからのスタート」(同)となる。
サービス・サポート商材の組み込みにより中小企業向けの収益性が高まれば、パートナーの粗利も増え、パートナーは新しい技術の習得や人材育成に投資しやすくなる。パートナーの活性化やスキルの向上が、「啓発→相談→導入→活用」の好循環を創出。中小企業向けの売上高は今後3年間、「前年度比で20-30%ほど伸ばせる」(同)と予測する。

中堅・中小企業市場の成長余地は依然として大きく、マイクロソフトの企業向けパッケージソフトの販売量を示すボリュームライセンスベースで、数年以内に大手企業向けの販売を上回る可能性もある。大手企業のIT投資が一巡するなか、中小企業のIT成熟度を高め、利活用を促進することが収益拡大のカギとなっている。