その他
日立、パソコン廃し専用端末導入 セキュリティ確保が目的
2005/01/10 15:00
週刊BCN 2005年01月10日vol.1071掲載
日立製作所(庄山悦彦社長)は、セキュリティ対策の強化を目的に、今年度(2005年3月期)中にパソコンに代わって“データを持てない”専用端末を導入することを決めた。クライアントに情報資産を持たせないことで高いセキュリティレベルの確保を目指す。パソコンメーカーである日立が、セキュリティのためにユーザーとしてはパソコンに見切りをつけたとも取れる。これは、企業の情報システムに不可欠なクライアントパソコンの位置づけを見つめ直すきっかけとなり、企業ユーザーに同様の動きが広がる可能性も出てくる。セキュリティ対策の重要性を改めて認識させるだけでなく、企業ユーザーが専用端末に乗り換えれば、パソコン関連市場にインパクトを与えることにもなりそうだ。(木村剛士●取材/文)
影響大きい法人向けパソコン市場
■今年3月末までに2000台を導入
日立製作所はまず、情報・通信グループのモバイル端末を利用している社員を対象に、パソコンから専用端末への移行を進める。今年3月末までにまず2000台を導入し、05年度には8000台まで広げる。効果があれば、日立グループ全体のパソコン約30万台すべてをこの専用端末に切り替える計画。将来はこの専用端末の販売事業も視野に入れる。専用端末はHDD(ハードディスクドライブ)などの記憶装置を内蔵していないため、社員はこの端末にデータを保存することができない。社内ではLAN、外出時はインターネットを介して企業内の情報システムにアクセスし、データやアプリケーションを利用する仕組みだ。
企業の情報システムで、クライアントパソコンは無くてはならない存在。その一方で、パソコン事業で利益を出すのに苦心しているメーカーは多い。「端末にデータを持たなくても業務に支障はない。パソコンでなくても問題ない」との認識が高まれば、回復の兆しが見えてきたパソコン市場に与える影響も小さくない。すでに、米調査会社のガートナーは、パソコンメーカー上位10社のうち、07年までに3社が市場から撤退すると予測している。パソコンメーカーでもある日立が、ユーザーの立場ではパソコンに見切りをつけることになる今回の専用端末導入は、少なからずパソコン市場を刺激することになる。
ところが、米IBMと聯想集団(レノボグループ)が設立するパソコン事業新会社の社長に就任する米IBMのスティーブ・ウォード・シニアバイスプレジデント&パーソナル・システムズ・グループ担当ゼネラルマネージャーは、「パソコンは今最も大きなチャンスを迎えている」と、ビジネス拡大に意欲を示している。「セキュリティ機能を付加したり、ワイヤレス環境の進展による新たなアプリケーションの追加、携帯電話との連携などパソコンでできる機能は多い。ユーザーの利便性は進化したパソコンによってさらに高まるのは確実で、新たなビジネスチャンスを生む」と強気だ。
このほか、NECと富士通も、パソコン事業では苦労しているものの、事業継続の姿勢を崩していない。日立も「ビジネスとしてパソコン事業から撤退する意思はない」(同社広報担当者)という。
■企業の“パソコン離れ”を誘発?
一方で、企業ユーザーが今後、日立のようにパソコン以外の専用端末を求める動きが高まる、という意見もある。
日立グループがパソコンから専用端末に切り替える狙いは、セキュリティの確保。情報漏えい事件・事故の防止や、個人情報保護法への対応から、企業には高い情報セキュリティ対策が求められている。特に情報漏えい防止を重視している企業は多い。そのために、データを格納することができない専用端末に切り替えることが、顧客情報など重要情報の流出を防ぐ早道と見ているわけだ。
情報セキュリティ対策に詳しいISUの植野俊雄代表は、「情報を“持たない”ことは、漏えいを防ぐ格好の対策」とそのメリットを話す。さらに、専用端末ならば「セキュリティ対策だけではなく、データのバックアップやソフトウェアの資産管理もパソコンに比べて容易に行える」と話しており、この動きは他の企業にも浸透するのではないかとみる。実際、セキュリティベンダー各社の商材を聞くと、「クライアント関連」との答えが圧倒的に多い。
企業で当たり前のように使用しているパソコンに代わる端末を日立が開発・導入することは、企業の“パソコン離れ”を誘発することになるかもしれない。さらに、現在の情報システムの在り方を見つめ直し、セキュリティの高い情報システム構築の機運が高まることにもなるだろう。
日立は自社導入する専用端末の外販も計画している。日立の決断がどう出るか、セキュリティで悩む企業ユーザーだけではなく、パソコンベンダー、ソフトベンダーなどIT業界全体が注視している。
日立製作所(庄山悦彦社長)は、セキュリティ対策の強化を目的に、今年度(2005年3月期)中にパソコンに代わって“データを持てない”専用端末を導入することを決めた。クライアントに情報資産を持たせないことで高いセキュリティレベルの確保を目指す。パソコンメーカーである日立が、セキュリティのためにユーザーとしてはパソコンに見切りをつけたとも取れる。これは、企業の情報システムに不可欠なクライアントパソコンの位置づけを見つめ直すきっかけとなり、企業ユーザーに同様の動きが広がる可能性も出てくる。セキュリティ対策の重要性を改めて認識させるだけでなく、企業ユーザーが専用端末に乗り換えれば、パソコン関連市場にインパクトを与えることにもなりそうだ。(木村剛士●取材/文)
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