デル(浜田宏社長)がサーバーやストレージ製品などの保守サービスを管制する「エンタープライズコマンドセンター(ECC)」を神奈川県川崎市の本社内に開設した。基幹システムとして、同社のサーバー「パワーエッジ」やストレージ製品「パワーボールト」を導入する顧客企業が増えていることから、24時間365日のサポート体制の強化に乗り出した。これによりサービスの品質を高め、エンタープライズ分野でのシェアをさらに拡大していくことを狙う。(佐相彰彦●取材/文)
■24時間365日体制で提供
ECCは、デルが品質の高い保守サービスを提供する管制塔となる。専任のエンジニアが障害発生の連絡を受けてから保守スタッフの手配、問題解決までサービス状況の流れをリアルタイムで一元的に管理する。デルが以前から提供している、製品のトラブル時にサポート員が顧客企業の現場に駆けつけて修理などを行うオンサイト保守サービスを一層強化したことになる。センター内には10人の専任エンジニアを配置。近く20人まで増やす予定だ。
オンサイト保守サービスは、顧客企業からシステムのトラブルに対する連絡が入ると、まずテクニカルサポートにより障害の種類別に切り分けを行う。現地への技術者の手配および部品配送を行い、技術者が到着してから保守作業を実施することで障害を解決するという流れ。
これまでは、同社のサポートスタッフが部品の配送までを担当し、サポートパートナー企業の技術者が現地に駆けつけて保守作業を行っていた。これを、ECC専任のエンジニアがリアルタイムで保守作業を監視し、必要とあれば遠隔地からバックアップするという体制に切り替えた。
バックアップの方法については、顧客企業のデータを集約し、同社独自のモニタリングツールとGIS(地理情報システム)を開発することで実現。モニタリングツールは、各顧客企業のデータをリスト化し、トラブルの原因を分析できるように仕立てた。GISを駆使して保守が行われている企業のある地域を表示することに加え、台風や地震、交通事故などに関する情報も常時収集することで適切にサポート員を手配できる仕組みとしている。
■ワールドワイドで4拠点目
デルは、2003年11月に米国本社、04年に中国とアイルランドに同様のコマンドセンターを設置している。日本に今回設置したECCはワールドワイドで4番目の拠点となる。日本以外の3か国は生産拠点のある地域であり、サポートセンターを置いたのもそのためだ。一方、日本は販売やサービスの提供が中心。浜田社長は、「生産拠点がない日本にセンターを設けたのは、デルが日本のマーケットを重視している証拠」と、日本の顧客へのサポートを手厚くしたと語る。「戦略的な管制センターとして、これまでにはなかった新しいサポートを提供し、サービスメニューを進化させる」と、より一層のサービス向上を掲げている。
ディストリビュータを介さない直販の「デル・モデル」が日本で通用していることに加え、サポートサービスを一段と充実することになれば、「顧客と直接コミュニケーションを図ることにより、ニーズに対して迅速に応えることが可能となる。サポートに対しても同様」(浜田社長)という点から、サーバーやストレージ分野の競合他社にとっては、ますます手強い相手になるだろう。
また、ソフトメーカーにとっても自社のソフトが搭載されたハードの販売増により売上高が伸びる期待もある。オープニングセレモニーには、インテルやマイクロソフト、SAPジャパン、日本オラクルなど戦略的なパートナーが参加。「デル製品の販売が好調であることは、当社の64ビットプロセッサも市場に多く出回ることにつながる。(デルが)ECCを大きくアピールしてミッションクリティカルな領域まで拡げることを確信している」(インテルの栂野平・エンタープライズ&ネットワークソリューション本部ソリューションビジネス開発部統括部長)、「導入後のサービスに力を入れることで、(デルの製品が)ハイエンドからローエンドまで、さらに幅広く網羅することになるだろう」(マイクロソフトの眞柄泰利・執行役常務)などとECC設置によりサポートサービスが強化されることを一様に歓迎するコメントを述べた。
将来はソフトウェアを含めた障害対応や、ストレージ製品「デル/EMCストレージ」と他社サーバーで構築されたシステムのサポートといった障害復旧サービスの強化、ストレージ製品の定期診断およびコンサルティングなど障害予防メニューの拡充などをECCで実現することに力を入れるという。ECCを通じて企業ユーザーの信頼を勝ち取り、「サーバーやストレージのビジネスをさらに飛躍させる」(浜田社長)方針だ。