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<ISVから見たベンダー戦略 マイクロソフトを選択する理由(下)>支援のスピードが雌雄を決する
2005/10/03 21:10
週刊BCN 2005年10月03日vol.1107掲載
国内ISV(独立系ソフトウェアベンダー)では、ここへきて、安定して需要を獲得する上で、自社ソフトの開発スピードや品質の大幅向上など、ユーザー企業のニーズに応えた開発環境の再構築が至上命題となっている。電子カルテなど医療システムで業績を伸ばす北海道札幌市のシーエスアイ(CSI、井戸川静夫社長)も、主力の病院向け電子カルテシステム「HS-MI・RA・Is(エイチエスミライズ)」などが、「全面的な見直しの時期にある」(浅山正紀・取締役管理本部長CFO)と、次世代の電子カルテを構築する上で、重要な時期に差し掛かっている。
■次世代ソフトでパートナーへ加盟
エイチエスミライズは、1999年4月に厚生労働省が診療録などの電子媒体保存を認めたことを契機に、病院向け受託ソフト開発をしていたCSIが、病院の要望を受け開発。00年に札幌市内の病院で第1号が稼動した。このシステムは、医師の診療・治療情報や検査結果のほか、医薬の処方や看護管理などのデータ授受をすべてコンピュータで統合的に管理できる。
このシステムは、ウィンドウズ環境で動作するサーバー/クライアント(C/S)型システム。CSIはこれまで、同システムをマイクロソフトの開発ツール「ビジュアルベーシック(VB)」やミドルウェアなどをディストリビュータなどが扱う市販品を調達して独自開発してきた。だが、「次世代の電子カルテシステムに脱皮させる」(浅山取締役)ために、これまでの開発体制では限界が生じてきたという。
そこで、CSIは今年1月、マイクロソフトのISV支援の認定パートナーとなる。「次世代プラットフォームの情報収集や開発途中のトラブル解決や直接開発担当者へ質問できる環境など、開発効率を高める上で有益だ」(浅山取締役)と、今後登場する次世代電子カルテシステムの開発で、マイクロソフトの全面バックアップを受けている。
■パートナー開拓で共同戦線
「当社は、ISVという立場ではないが、マイクロソフトと共同戦線を張る」と語るのは、ウイングアークテクノロジーズ(ウイングアーク、内野弘幸社長)の杉澤俊也・常務取締役営業本部長。業務アプリケーション開発に不可欠な帳票システムを主力とする同社だけに、「当社もプラットフォームベンダー」(同)との立場で、マイクロソフトと共同でISVやシステムインテグレータ(SI)などを開拓している。
ウイングアークの帳票システムを一種のミドルウェアと考えると、「JavaやJ2EE、.NETなど、すべての言語環境で技術力に長ける必要がある」(杉澤常務)ため、ウィンドウズ環境だけに傾注しているわけではない。だが、「他のミドルウェアベンダーに比べ、デモキットの配布や動作検証など技術面の情報提供量が多く、技術力を高めるのに、いいバックアップをしてもらっている」(清水俊之・営業本部プロダクトセールス部マネージャー)と、マイクロソフトの支援を有益と見て、共催で技術セミナーなどを開催し、パートナー獲得で成果を上げている。
マイクロソフトを含め日本オラクルや日本アイ・ビー・エム(日本IBM)などプラットフォームベンダーは、ここ数年、開発環境の提供方法や教育、共同セールス──など、ISV支援強化でしのぎを削る。ISVがどのベンダーを選択するかは、ISVに対し、各支援策をいかに迅速に提供できるかで決まりそうだ。(企画編集取材班)
国内ISV(独立系ソフトウェアベンダー)では、ここへきて、安定して需要を獲得する上で、自社ソフトの開発スピードや品質の大幅向上など、ユーザー企業のニーズに応えた開発環境の再構築が至上命題となっている。電子カルテなど医療システムで業績を伸ばす北海道札幌市のシーエスアイ(CSI、井戸川静夫社長)も、主力の病院向け電子カルテシステム「HS-MI・RA・Is(エイチエスミライズ)」などが、「全面的な見直しの時期にある」(浅山正紀・取締役管理本部長CFO)と、次世代の電子カルテを構築する上で、重要な時期に差し掛かっている。
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