その他
タブレットPCに新たな動き ノートパソコンの標準機能の一つに
2005/11/14 14:53
週刊BCN 2005年11月14日vol.1113掲載
タブレットPCに、新たな動きが表面化してきた。パソコンメーカーは、今秋の新製品に外観はノートパソコンだが、タブレット機能も持たせた「コンバーチブル型」を投入し、ビジネスユーザーの獲得に向けてカを入れだした。また、マイクロソフトは、11月下旬から「ウィンドウズXPタブレットPCエディション」DSP版(デリバリーサービスパートナー)の提供を開始。DSP版の提供によりパソコンショップやシステムビルダーでもタブレットPCを提供するほか、自作パソコンユーザーの取り込みをすすめるなど、新たなユーザー層の拡大に向けて取り組みを強化している。(田澤理恵●取材/文)
3年後、10倍に拡大と強気なメーカーも
■富士通、日本HPなどが投入
タブレットPCの現在の主なユーザー層は、教育、医療、検針業務などの特定市場が中心で、それ以外での市場拡大については消極的な見方が強かった。しかし、ここにきてノートパソコンのディスプレイにタブレット機能も持たせた「コンバーチブル型」が登場、一般企業に普及させようという動きが出てきた。
富士通は、タブレットPCの製品ラインを一新、11月中旬から日本市場にも新たにコンバーチブル型の「FMV-P8210」など2機種を投入する。キーボード入力でノートパソコン、手書き入力でタブレットPCとして使える自在性を訴求。「プレゼンテーション用途など営業担当者のモバイル端末として提案」(叶忠之・パーソナルマーケティング統括部クライアントPC推進部担当課長)していくほか、店頭販売も前向きに検討する。「コンバーチブル型が需要拡大のカギ」とタブレットPCのけん引役として期待は大きい。
「発売後向こう1年間の販売台数目標は、前年実績の2倍以上を見込んでいる」が、「3年後には10倍に拡大する」と大幅な市場拡大を見込む。「ノートパソコンの2-3割程度のシェアになれば本格普及と言えるだろう」(同)と捉えている。
日本ヒューレット・パッカード(日本HP)は、2002年からタブレットPCを販売してきたが、今年11月中旬に発売する新製品は「タブレット機能を搭載したモバイルPC」としてノートパソコンの製品ラインの1つに位置づける。具体的には、「ノートパソコン『nc4200』の最上位モデル」(山上正彦・パーソナルシステムズ事業統括モバイルビジネス本部プロダクトマネージャー)としている。日本HP社内では、すでに「タブレットPCとは呼んでいない」(同)ほど徹底しており、これまでのタブレットPCの特異なイメージを払拭させる狙いだ。
日本HPは以前からコンバーチブル型の製品を出してきたが、これまで画面の後ろに基盤を乗せる形状をとっていた。しかし、11月に発売する新製品「HP Compaq tc4200 Tablet pc」では、キーボード側に基盤を乗せて、モバイルPCにタブレット機能をプラスした形だ。販売目標については、「今年度(06年10月期)は、昨年度の販売実績の1.5倍、3年後には10倍ぐらいになる」(同)と、富士通と同様に大幅な市場拡大に自信を見せている。
日本HPや富士通のほか、レノボ・ジャパンは7月に、初のタブレットPC「Think Pad X41 Tablet」の販売を開始済み。同社は、「タブレットは、パソコンの一機能であり、パソコンの付加価値として売っていく」(荒川朋美・アジア・パシフィックプログラム・マーケティング担当)方針を示している。
各社が3年後に現在の10倍規模に拡大すると強気に転じているのは、いずれモバイルPCに付加機能として統合されるという見通しがあるからだ。日本HPの山上・マネージャーは、「タブレット機能は、持ち運んで使用することが前提であるモバイルPCにとって必須機能の1つになる」として、モバイルPC本来の理想形と考えている。
これまでは、「部材が高い、十分な機能を発揮できる本体デザインでなく、対応ソフトウェアも少ない」ことが障壁になっていたが、これらの課題は徐々に克服されると見る。
市場全体としても、今年4月ごろまでは、タブレットPCに懐疑的な見方が一般的だったが、各社が工夫を凝らした新製品を投入するなかで市場拡大にも明るさが見えてきた。日本HPでは今回の新製品は、「以前よりも開発コストは抑えられている」として、今後さらに問題をクリアしていくことで、「1年後にはモバイルPCの標準形になるだろう」と期待を寄せる。
例えば、ノートパソコンのポインターを動かす際にマウス代わりに利用するタッチパッドが、現在では標準搭載されているのと同じように、いつのまにかモバイルPCにタブレット機能が標準搭載されているような形で浸透していくというのが同社の見方だ。
各社ともコンバーチブル型の投入を機に、企業ユーザーを対象にキーボード入力と手書き入力が両方できる使い勝手の良いノートパソコンとして訴求することで、需要の拡大を見込む。
■マイクロソフトはDSP版提供
現在のタブレットPCは、パソコンメーカーが同OSをインストールして出荷する仕組みのため、ユーザーはメーカー製のプリインストールされたパソコンを買うという選択肢しかなかった。マイクロソフトが今月下旬から提供開始するDSP版の配布により、パソコンショップやシステムビルダーもタブレットPCを提供できるため、ユーザーの選択肢が増えることになる。
タブレットPCに、新たな動きが表面化してきた。パソコンメーカーは、今秋の新製品に外観はノートパソコンだが、タブレット機能も持たせた「コンバーチブル型」を投入し、ビジネスユーザーの獲得に向けてカを入れだした。また、マイクロソフトは、11月下旬から「ウィンドウズXPタブレットPCエディション」DSP版(デリバリーサービスパートナー)の提供を開始。DSP版の提供によりパソコンショップやシステムビルダーでもタブレットPCを提供するほか、自作パソコンユーザーの取り込みをすすめるなど、新たなユーザー層の拡大に向けて取り組みを強化している。(田澤理恵●取材/文)
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