その他
日本IBMのVAD事業 2強体制鮮明に
2006/02/27 21:10
週刊BCN 2006年02月27日vol.1127掲載
日本アイ・ビー・エム(日本IBM、大歳卓麻社長)の“VAD”2強体制が鮮明になってきた。IBMトップディーラーの日本ビジネスコンピューター(JBCC)は2010年度をめどにVAD事業で400-500億円の売り上げを目指すのに対し、NTTグループなど大手優良顧客を多数抱える日本情報通信(NI+C)は08年度までに同250-300億円を売上目標に据える。VADは技術支援や保守運用など高度な付加価値サービスが求められることから、日本IBMには、大手2社を競わせることでレベルアップに結びつける狙いがあると見られる。
JBCCとNI+Cそれぞれの拡大戦略を展開
競争を通じてレベルアップを狙う
日本IBMでは、ディストリビュータを付加価値型(VAD)と量販型(VOD)に区分している。このうち、VADは付加価値ディストリビュータの頭文字をとったもので、いうならば、専門店チャネルのような存在だ。
JBCCグループは今年4月1日付けでVAD専業会社のイグアスを設立する。対してNI+CはVAD事業を大幅に拡大させる戦略をとる。今年度(06年3月期)のVAD事業の売上高見込みは70-80億円だが、来年度は120億円規模に拡大させる。
イグアスの初年度(07年3月期)目標は200億円としており、競争が激化するのは必至だ。イグアスは約370社のビジネスパートナーを販売ターゲットにし、一方のNI+Cは約200社をターゲットにする。目標数値やパートナー数の上ではイグアスの規模が大きく見えるが「両者の実力はほぼ互角」と日本IBMの幹部は見ている。
主力の統合アプリケーションサーバーの販売でトップクラスの実績を持つJBCCは、24時間無休でサーバーの動作状況を監視する「ネットワークサービスを軸にイグアスの差別化を図る」(イグアス社長に就任予定の矢花達也・常務執行役員マーケティング担当・パートナー事業部長)考えだ。NI+CはオープンメインフレームサーバーやUNIXサーバーなど「バランスのよい販売実績がある」(富田修二社長)のが強み。運用・管理業務を体系化したガイドラインITIL準拠の運用サービスにも定評がある。また、NI+Cは日本IBMとNTTの折半出資会社で、NTTグループなど大手優良顧客が多い強みも持っている。
販売パートナーの内訳を見てみると、JBCCは実力のあるIBMビジネスパートナーが多いのに対して、NI+Cでは約200社の販売パートナーのうち約150社はIBMビジネスパートナーではない。つまり、VAD事業を伸ばせば、「これまでIBMの取扱数が比較的少なかったチャネルでシェア拡大を図れる」(NI+Cの岡部守良・パートナー事業部長)と、新規顧客の開拓に力点を置く。パートナー数は現状維持で、店内シェアを高めることで売上増につなげる。
JBCCも新規顧客の開拓を重要視しており、どれだけ新規を増やせるかがVAD事業の成否を決める要因になる。
手離れのよいパソコンやローエンドのPCサーバーと異なり、中大型サーバーの販売には独自のノウハウが欠かせない。このためSIerは扱いなれたメーカー製品を継続して販売する傾向が強く、日本IBMにとっては新規チャネルの開拓が進まない要因のひとつになっていた。VAD事業者が的確なサービスを提供することで既存の壁を打ち破ることができれば、シェア拡大の突破口になることも期待できる。
VAD事業者への支援体制を強化し、かつ適正な競争関係を創り出せるかがカギになりそうだ。
【VAD】(バッド)
付加価値ディストリビュータ
パソコンやローエンドPCサーバーなどを量販するVOD(ボッド、ボリュームディストリビュータ)の対比として位置づけられる。中大型サーバー製品の拡販に欠かせない技術支援やネットワークサービスを提供するとともに、互換性のあるISV(独立系ソフト開発ベンダー)のソフトも扱うなど付加価値サービスに重点を置く。日本IBMと協業関係にあるシスコシステムズやレノボの製品、プリンタなどの周辺機器も幅広く扱う。
日本アイ・ビー・エム(日本IBM、大歳卓麻社長)の“VAD”2強体制が鮮明になってきた。IBMトップディーラーの日本ビジネスコンピューター(JBCC)は2010年度をめどにVAD事業で400-500億円の売り上げを目指すのに対し、NTTグループなど大手優良顧客を多数抱える日本情報通信(NI+C)は08年度までに同250-300億円を売上目標に据える。VADは技術支援や保守運用など高度な付加価値サービスが求められることから、日本IBMには、大手2社を競わせることでレベルアップに結びつける狙いがあると見られる。
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