その他
デルのカラーレーザープリンタ進出 競合メーカーは「脅威でない」と反応
2006/08/07 21:10
週刊BCN 2006年08月07日vol.1149掲載
「デルがA3機のカラーレーザープリンタ(単機能)を9万円を切る価格で出す」。国産プリンタメーカー競合各社の担当者は、7月18日、通勤途中の大手経済紙の記事を見て動揺した。「A3機ならば、報道通り、自社製品の半額だ」。会社に出勤するなり、担当者はデルのサイトなどで情報収集に奔走した。だが、程なく、取り越し苦労であることが判明する。「なんだ、A4機じゃないか」──。
デルは、国内市場に同社初となる単機能の業務用A4カラーレーザー「Dellカラーレーザープリンタ3110cn」を投入した。同機はネットワーク機能搭載で、毎分カラー17枚、モノクロ30枚の印刷速度をもつ。販売はウェブ直販「オンライン・ストア」などで行う。販売方法は異なるが、同性能・同価格のA4機は、沖データが5月から「C3400n」(印刷速度は、毎分カラー16枚、モノクロ19枚)を約9万5000円で市場投入している。
リコー広報部は、「A4カラーレーザーは量販店を中心に伸びているなかで、すでに10万円を切る価格設定になっている」と、低価格帯のカラーレーザーは、店舗でも手に入るという。沖データの親会社、沖電気工業は7月27日の決算説明会で、「デルの参入は影響がない。この領域を重要視していないからだ。ローエンド機は価格競争が激しい」(田中和男・専務取締役)と、粗利益の確保を優先させて、中・大型機に拡販体制をシフトしていると語った。
カラーレーザープリンタ市場は、ここ2─3年、年率20─30%成長した。だが、「今年に入り、その勢いが鈍化した」と、キヤノンMJの山本哲也・ページプリンタ販売企画課課長は分析する。そのなかで、同社のA4カラーレーザー「LBP-5200」(印刷速度は、毎分カラー4枚、モノクロ19枚)は、価格が約9万5000円と手頃なため伸びた。同社全体のA4カラーは他社に比べ、順調に成長。そんな折のデル出現だったが、「はるかに安い価格ではないし、OEM商品である限り、競争力の確保は難しい」(同)と、デルを脅威と見ていない。
一方、カラーレーザーの単機能市場で、A3機を主力としているエプソン販売は、「カラーレーザー市場では、まだA3機の比率が高い。オフィス内のカラー印刷率も低く、モノクロの印刷速度が重要」(小野潤司・販売推進部課長)と、他社と異なる見解をもつ。主力A3機のカラーレーザー「LP-5500」(片面印刷は、毎分カラー10枚、モノクロ40枚)は、市場価格が13万円を切り、低価格のA4機に十分対抗できるという。
キヤノンMJとエプソン販売はいずれも、デルの参入で、「ウェブ直販で、カラーレーザー市場を活性化して欲しい」と、直販と間販では戦う市場が異なるだけに期待する。一方で、リコーは「商品を実際に見て購入を決める顧客が多い」と、ウェブ直販を疑問視する。しかし、エプソン販売の小野課長によれば、時期によっては、量販店と「PCサクセス」などネットショップでの販売台数が互角になることもあるという。デルのA4カラーレーザーは、国産メーカーの脅威にならないまでも、間接販売が行き届かない領域で市場を伸ばす可能性は捨てきれない。 (谷畑良胤●取材/文)
「デルがA3機のカラーレーザープリンタ(単機能)を9万円を切る価格で出す」。国産プリンタメーカー競合各社の担当者は、7月18日、通勤途中の大手経済紙の記事を見て動揺した。「A3機ならば、報道通り、自社製品の半額だ」。会社に出勤するなり、担当者はデルのサイトなどで情報収集に奔走した。だが、程なく、取り越し苦労であることが判明する。「なんだ、A4機じゃないか」──。
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