その他
SMBにテープ装置が普及の兆し 低価格戦略で需要増を図る
2006/08/07 14:53
週刊BCN 2006年08月07日vol.1149掲載
大容量のテープ装置がSMB(中堅・中小企業)市場で普及する兆しが出てきた。メーカーによる製品の低価格化やストレージ販社による災害対策強化の新しいサービス提供などで需要が活性化する動きが現れている。国内テープ装置市場は縮小傾向にあるものの、ユーザー企業のなかでデータ量の増大にともなうバックアップの必要性や、ディスクストレージのみにデータを保管する“オールディスク化”に対する不安感などから、大容量テープ装置の需要がSMBにまで裾野を拡大しているとみられる。(佐相彰彦●取材/文)
データの災害対策ニーズも後押し
■日本HPが価格を大幅に改定 値下げ効果で購買層が広がる
日本ヒューレット・パッカード(日本HP)は、大容量テープ規格「LTO」準拠のテープ装置を6月中旬から大幅に価格改定した。
「ストレージワークス・ウルトリウム232」シリーズで、内蔵型は値下げ率36%の18万9000円、外付型は同33%の21万円、960シリーズの内蔵型は同28%の69万3000円などと設定した。
これにより、「7月については、売上高が前年同月を上回っている」(広報関係者)という。これまでは大企業を顧客対象とし、直販が中心だったが、「価格を下げたことにより、SMBが導入しているのではないか」とみている。というのも、「価格改定の実施で、販売パートナー経由の売り上げが伸びている」からだ。
国内テープ装置市場は成熟しているといわれている。小容量のデータであれば、テープではなくディスクストレージでバックアップをとることが主流になりつつあるためだ。
ところが、企業内のデータ量は年を追うごとに増大している状況で、ユーザー企業が大容量のテープ装置にバックアップを取るというニーズが出てきた。
調査会社の富士キメラ総研は、国内テープ市場は小容量テープの需要が減少することから、横ばいから微減の傾向を辿るものの、大容量テープ装置に関しては堅調に成長すると予測する。
これは、ディスクだけのバックアップだけではデータ消去の事故を危惧するユーザー企業が増えていることの現れだ。しかも、これまでは大企業での導入が主流であったものの、SMBにも裾野が広がりつつある。そこで、日本HPでは「テープ装置に値ごろ感を持たせることで、SMBの需要を掘り起こす」戦略を実施したというわけだ。
■新サービス提供の動きも データ保護を万全に
メーカーによる製品価格の値下げに加え、ディストリビュータやSIerなどストレージ販社によるテープの拡販や新しいサービスの提供といった動きも相次いでいる。
キング・テックでは、日本HPの製品は展開していないものの、自社ブランドでテープ装置を販売していることから、「市場の活性化を図るという点で、(日本HPの低価格化は)大いに歓迎している。多くのSMBにテープ装置が安いという意識が芽生えてくれば、需要を掘り起こすチャンスになる」(王遠耀社長)とし、「保守を含め、テープ装置ベースのストレージソリューションの提供をさらに強化する」という。
大塚商会では、ワンビシアーカイブズとの提携で、災害発生時でも企業のデータを保護し、ビジネスの継続性を確保する「バックアップテープ保管サービス」を7月10日から開始。災害対策支援の観点からテープをベースとした新サービスを立ち上げた。初年度の導入社数として200社を見込んでいる。
一方、テープ装置を販売していないベンダーは、「国内テープ市場は縮小傾向にある。そのため、今後はサブストレージ機器を購入するといったディスクストレージ機器でのバックアップが主流になる」との見解を共通の認識とし、データバックアップの“オールディスク化”を促進させている。実際のところ、ディスクストレージがテープドライブにとって代わる状況は確かにある。しかし、ディスクストレージでのバックアップは万が一システムがダウンすることによるデータ消去の危険性を拭いきれない。
当面はディスクと大容量のテープ装置を併用するバックアップが主流となり、SMBでのテープ需要が増大するといえそうだ。
大容量のテープ装置がSMB(中堅・中小企業)市場で普及する兆しが出てきた。メーカーによる製品の低価格化やストレージ販社による災害対策強化の新しいサービス提供などで需要が活性化する動きが現れている。国内テープ装置市場は縮小傾向にあるものの、ユーザー企業のなかでデータ量の増大にともなうバックアップの必要性や、ディスクストレージのみにデータを保管する“オールディスク化”に対する不安感などから、大容量テープ装置の需要がSMBにまで裾野を拡大しているとみられる。(佐相彰彦●取材/文)
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