08年度に売上高3000億円めざす

　日立製作所グループの保守サービス会社である日立電子サービス（百瀬次生社長）が、日立グループのSIerである日立オープンプラットフォームソリューションズ（日立OPSS）を吸収して１年。システム構築から運用、保守サービスまで提供できるビジネス基盤を整えたことで、何が変わったのか。百瀬社長は「顧客満足度が5ポイント向上するなど、確実に統合効果が現れてきた」という。

　もともと日立グループの保守サービス会社としてスタートした同社が、オープン系システム構築事業に強い日立OPSSを吸収したのは昨年10月1日。保守サービス事業だけでなく、システム企画や構築、運用サービス事業を整えた。今年4月1日には地域子会社6社も吸収し、大がかりな組織再編を進めてきた。日立OPSSを吸収したことにより、保守サービス事業の比率は全体の5割まで低下。それ以外はシステム構築事業や運用サービス、物販などが占める売上構成へと変化した。

　一連の組織再編による統合効果を百瀬社長は、「全国均一でシステム企画から保守まで提供できる体制が構築できたことは大きく、新たなビジネス基盤をこの1年で整えることができた」と評価。同社が毎年2－3月に実施している独自の顧客満足度（CS）調査は、昨年に比べ5ポイント向上し過去最高だったとしている。顧客からの評価でも実際の統合効果が現れてきたと、百瀬社長は自信を深めている。今年度上期（4－9月）の業績については増収増益を達成する見込みで、とくに顧客の情報システムをサービスセンターから遠隔監視する運用サービスが伸びているという。

　今後は、サービス単価の下落が激しい保守サービス事業よりもシステム構築や運用サービスを伸ばす事業計画を作成。保守サービス事業を全体の40％まで下げる見通しを示している。今年度の業績目標は明らかにしていないが、2008年度（09年3月期）には売上高3000億円の到達という中期計画を掲げている。

　中期計画のなかで百瀬社長は、営業力と技術力強化を課題ポイントにあげている。営業力強化に向けては、ハードとソフトの保守サービス業務を手がけられる「ACE（アドバンスドカスタマーエンジニア）」を今年度1000人まで増やすことを計画。間接部門の人員を約20％削減して、その分を営業や技術職に振り向ける。