その他
クレオ、業績回復の兆し 主力事業黒字化まであと一歩
2007/11/19 21:10
週刊BCN 2007年11月19日vol.1212掲載
クレオ(土屋淳一社長)に業績回復への兆しが見え始めた。2008年3月期中間決算で、これまで通期で赤字を計上していた営業利益、経常利益が黒字に転換した。前期と比べ、SI会社の中央システムを売却したことにより、売上高は減少したものの、同社の法人向けブランド「ZeeM」事業はライセンス販売の増加により月販1億円を突破した。(鍋島蓉子●取材/文)
ZeeM事業が好調
同社の08年3月期中間決算の結果をみると、売上高が64億100万円(前年同期84億6000万円)、営業利益1億100万円(同、マイナス1億4500万円)、経常利益1億100万円(同、マイナス1億8600万円)、純利益2200万円(同、マイナス2億4400万円)。営業利益、経常利益、純利益は通期予想でも黒字を見込んでいる。
クレオは、システム開発をはじめ、BCNランキングで首位を堅持しているハガキ・毛筆ソフト「筆まめ」を軸としたコンシューマ事業、親会社のヤフー、富士通などを主要顧客とするサポート&サービス事業、モバイル事業、そして法人向けの会計や人事給与などのパッケージと周辺ソリューションやツールを総称したブランド「ZeeM」事業を主に手がけている。
コンシューマビジネスでは、これまでβ版でテストしていた年賀状印刷サービス「筆まめOnline」を本格的にネットビジネスとして立ち上げた。提供に当たっては「必ずしもパッケージ連動は考えていない」(土屋社長)という。パッケージでは筆まめ以外の製品を拡充する考えだ。
新事業開発にも積極的で、次世代サービス実験サイト「eCREOLAB」を立ち上げ、シニア・ファミリー向けサービスなどさまざまなネットサービスを事業化してきた。
また、モバイル事業では今年5月にモバイル関連会社「ネットジーン」を合併。システム開発ではなく、「SEO(検索エンジン最適化)」「SEM(検索エンジンマーケティング)」などに対するコンサルティングを踏まえたサービスの展開を図るほか、既存事業の連携も図ろうとしている。
今回の結果では、法人向けブランド「ZeeM」事業とサポート&サービス事業が大きな伸びを示した。
サポート&サービスでは、主に売上構成で富士通が大きな割合を占めていて、親会社ヤフーに対しては専用の運用センターを開設している。今後はこうしたヤフー、富士通などの既存顧客の売上を維持しながら、新規顧客の開拓に注力することで、事業拡大を図る計画だ。
システム開発でも富士通、ヤフーに向けて情報メディアや公共など分野をしぼりこんで受注するとともに新規顧客を獲得していく。
SaaS提供も計画
クレオが特に力を入れるのはZeeM事業だ。法人向けパッケージ「CBMS ZeeM会計」「CBMS ZeeM人事給与」は、今年ライセンス販売が好調に推移し、9月次の販売実績で170社、1億円の売り上げを計上した。
同社は05年に12年間の販売実績がある「CBMS」シリーズの新製品「CBMS ZeeM」を市場投入したが、プログラムの不具合を起こし、品質や開発投資コストの管理を徹底し、改善に取り組んでいた。2期連続での赤字を計上し、ZeeM事業の黒字化は同社の懸案となっている。
ZeeMは直販とパートナー経由での販売やラインアップの拡充も行ってきた。売上増加に関して同社は「基本ラインアップに加え周辺ソリューションメニューを拡充したことも好調の要因の一つ」と考える。売上高は前年同期比32.6%増の11億6000万円、営業損失は前期の4億800万円から8400万円まで縮小し、「黒字まであと一歩」のところまできている。「社内組織を改変し、全社的に30人の営業リソースをZeeMに集約する」(土屋社長)。
今後の展開としては「SaaS/ASP」での提供を計画している。同社はワイズノットと業務提携を行い、ワイズノットの提供するSaaSプラットフォームから、「ZeeM」の機能提供を模索している。
新たな自社ブランドとしての確立を狙う「ZeeM」。一時はつまずいたものの、今後は同社の成長の一翼を担うための事業として、大きな役割を果たすことになりそうだ。
クレオ(土屋淳一社長)に業績回復への兆しが見え始めた。2008年3月期中間決算で、これまで通期で赤字を計上していた営業利益、経常利益が黒字に転換した。前期と比べ、SI会社の中央システムを売却したことにより、売上高は減少したものの、同社の法人向けブランド「ZeeM」事業はライセンス販売の増加により月販1億円を突破した。(鍋島蓉子●取材/文)
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