その他
NEC “真”のパートナーシップ構築へ CAS販の体制を大幅強化
2008/05/19 21:10
週刊BCN 2008年05月19日vol.1235掲載
販売代理店と“真”のパートナーシップ構築へ--。NEC(矢野薫社長)のクライアント・サーバ販売推進本部(CAS販)が体制強化に踏み切った。今年度(09年3月期)からITプラットフォーム製品の販売支援体制を集結するという組織改編を図ったほか、拡販に向けて販売代理店と事業戦略の共有を徹底する。これにより、新規開拓や市場創出につなげる意向だ。
新規開拓や市場創出を追求
■ITプラットフォームを集結
NECは今年度から組織を改編、ITプラットフォーム製品について販売支援体制の集結に乗り出した。具体的には昨年度まで「営業ビジネスユニット(BU)」内に設置していたCAS販を「ITプラットフォーム(ITPF)BU」にシフト。これにより、従来CAS販で扱ってきたPCサーバー「Express」シリーズやクライアント端末だけでなく、同じ「ITPF BU」内の「ITPF販売推進本部」で扱っていたストレージやミドルウェア、OSなどもトータルで提供可能となり、事業一体化を図ったことになる。
こうした組織強化を図ったのは、システム統合の市場拡大を見据えたからだ。これまでもサーバーとクライアント端末、ストレージを組み合わせて提供するといったケースは数多くあった。しかし、BUが異なっていたことで「ITプラットフォーム事業の一体提供」という点ではブレが生じるケースもあった。
今回の改編は、「ハードウェア販売については、同じBU内で処理することが最適」との判断からだ。また、以前はCAS販が営業BU内ということもあり、ユーザー企業のニーズに適した製品開発に反映しにくく、例えば統合システムの提供が主流になる環境下では対応が遅れる懸念もあった。
今年4月からCAS販の指揮を執ることとなった吉泉康雄本部長は、「“売り弾”が少なかったことが旧組織体制の課題。これからは、まず販売パートナーにとって売りやすい製品を開発するような体制を敷く」と意欲をみせる。
■「無操作」の情報取得を実現
ユーザー企業に適した製品提供に向け、NECが重視しているのが販売代理店とのパートナーシップを深めることだ。現段階では支援制度の強化策をプログラムとして体系立てていないものの、「これまで行ってきたチャネル戦略を抜本的に改善する必要はある」と明言している。
そうした「今後のチャネル戦略」にとって、具体的なキーワードとなるのは「販売代理店との事業戦略の共有」だ。「これまでもパートナーシップを深めるために環境を整えていたつもりだったが、製品提供に偏っていた。結果的にメーカーが製品を卸すという、一方的なビジネスモデルを払拭できなかった」という。その反省を踏まえ、「当社と販売パートナーの強みを共有することで、新しいソリューションを創出していく」方針だ。
強化策として販売代理店が事業拡大できるためのプラットフォーム提供に力を注ぐ。「事業の方向性や販売ターゲットのような情報を共有すれば、必要な製品を開発できるといったフィードバックにつながる」。販売代理店にとっては、自社のパッケージソフトに適したハードウェアをNECが開発してくれることになる。「この新しいソリューションの需要が高まれば、それが成功事例となって、より多くの販売パートナーに伝播する。そうなればパートナーに売ってもらうサイクルの構築など、これまでの商流の枠を超えた展開も目指したい」との考えを示している。
今年度から取り組んだ策ということもあり、今年4月末の時点では事業戦略の共有に賛同した販売代理店の数は「指折り数える程度」しかない。しかし、「話を進めれば意欲を見せてくれる販売パートナーは数多い」と、今後の展開には自信満々だ。どれだけの販売代理店とパートナーシップを深められるかが、NECのITプラットフォーム事業拡大を左右することになる。
NEC サーバー事業で2ケタ成長を維持
間接販売の比率増がカギ
ITプラットフォーム体制を強化したNEC。事業拡大を図るためには、サーバーやクライアント端末などの販売が中核となり、間接販売の比率増加がカギを握る。今年4月1日付で、クライアント・サーバ販売推進本部長に就任した吉泉康雄氏は、販売代理店とのパートナーシップ深耕について、どのような考えを持っているのだろうか。
吉泉本部長はオフコンビジネスに長く携わってきた。それだけに、「人と人との深いつながりが重要」との意識が強い。状況を把握するために就任早々、全国各地の販売代理店に挨拶回りを行った。そのなかで実感したのが「地方の景気は決して悪くない。販売パートナーの多くは元気がいい」ことだったという。昨年度、1ケタ成長といわれていた国内サーバー市場にあって、NECのビジネスは2ケタ成長。「さらに、販売代理店が売りやすい環境を整える」と、“売り弾”を創造するチャネル戦略を打ち出した。
昨年度の時点で、販売代理店経由でのサーバー販売の比率は65%強で、年度を追うごとに高まっているという。しかし、「間接販売を重視するなか、このままの比率が良いわけではない。今後さらに増やしていく」としている。そのなかで課題がみつかった。「当社からの弾出し(売れ行きの良い製品)が弱かったのではないか」。“こだわり”を前面に押し出した他社との差別化を図るための製品を投入してきたものの、「販売パートナーにとっては手離れがよかったとはいえない」。まずは、主要な販売代理店との共同開発などを実施し、ユーザー企業に適した製品・サービスを提供する。その製品・サービスに対してニーズが高まれば、成功事例として展開を図り、多くの販売代理店が売っていけるような制度を整えていく。
同社は新しく“Team NEC”というコンセプトを今年度から掲げている。これは、「製品力やSI力、顧客密着、地脈など、それぞれの得意技を当社と販売パートナーの双方で出し合っていきたい」との気持ちを込めたもの。PCサーバーを取り巻く国内環境は、ブレードの低価格化など外資系メーカーの追い上げが激しい状況だ。そんななか、国産メーカーとして流通ビジネスに重きを置き「何としてでもトップシェアを堅持する」という姿が垣間見える。改めて国内市場での確固たる地位を築き上げ、「売上高については、2ケタ成長を維持していく」と自信をみせている。
販売代理店と“真”のパートナーシップ構築へ--。NEC(矢野薫社長)のクライアント・サーバ販売推進本部(CAS販)が体制強化に踏み切った。今年度(09年3月期)からITプラットフォーム製品の販売支援体制を集結するという組織改編を図ったほか、拡販に向けて販売代理店と事業戦略の共有を徹底する。これにより、新規開拓や市場創出につなげる意向だ。
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