仮想化関連、最大30%増へ
システムディストリビューション事業などを手がけるネットワールド(塩田侯造社長)は、仮想化ビジネスが今期(2009年1~12月期)、前年度比10~30%伸びる見通しを明らかにした。ITシステムの運用コスト削減に対するニーズは大幅に高まっており、「仮想化への投資は減らさない」(森田晶一専務)とするユーザー企業が多いことがその理由だ。一方で大手SIerの参入も激しく、流通卸として仮想化関連の売上高上位20~100位程度の中堅SIerに向けた販売支援を拡充することですそ野を広げ、目標達成を確実にする考えだ。
売り上げを伸ばす施策は、販売パートナーへの支援拡充と、仮想化ソフトの組み合わせによる付加価値サービスの二つ。同社は、VMware認定コンサルティング(VAC)兼認定ディストリビュータとして、有力SI(システム構築)パートナーの支援をメインに手がけてきた。だが、国内でもVMwareの認定技術者を多く抱える大手SIerが増加。当面は「上位20~50位のパートナーを重点的に支援し、早い段階で50~100位へ拡大する」(森田専務)としており、すそ野を広げることで売り上げ伸長を狙う。

先行するヴイエムウェアを猛追するシトリックス・システムズ・ジャパンやマイクロソフト製品の1次代理店でもある同社。3社の製品を組み合わせたコンサルティングサービスにも力を入れる。大規模サーバー領域に強いVMware、クライアント周りで実績の多いシトリックス、小規模システムで圧倒的に有利なマイクロソフトと、強みの領域がそれぞれ異なる。また、メーカー3社とも強みの領域を拡張させており、「これらの製品をどう組み合わせ、最適なシステム設計をするのかが腕の見せどころ」(大城由希子グループマネージャー)と、“売り手”に付加価値サービスをどう手解きできるかが重要になると考えている。
08年は仮想化が普及した年だとすれば、09年は「マルチベンダー化が進む年」(森田専務)と位置づける。しかし、SIやサービスが高度化すればするほど、仮想化関連製品を扱うハードルが高くなる。同社では仮想化システムに必要なストレージやネットワーク機器の品揃えを増やし、関連システムをワンストップで販売パートナーに提供する体制を強化。咋年11月には仮想化ストレージ分野でストレージメーカーのネットアップと業務提携した。続く今年1月にはVMwareとストレージをつなぐブレード・ネットワーク・テクノロジーズの高速ネットワーク機器の取り扱いを始めるなど、「売りやすくする」関連商材やサービスの拡充を急ぐ。こうした施策を打ち、今期の仮想化関連ビジネスの売上高を前年度比10~30%増の80~90億円へ拡大させることを目指す。(安藤章司)