日本法人は09年5月に統合へ

米国で米ブロケードコミュニケーションズシステムズによる米ファウンドリーネットワークスの買収が昨年末に完了し、日本でも今年5月から大きな動きが出始める。2009年5月に日本オフィスを統合するほか、現・ファウンドリーネットワークスジャパン社長の青葉雅和氏が“新生ブロケード”社長に就任する予定だ。はたして日本法人はどのようなビジネスを手がけていくのか。
米国でのブロケードによるファウンドリーの買収は、FC(ファイバーチャネル)スイッチ市場の王者がイーサネットスイッチの先進技術をもつメーカーを統合したことで大きな話題を呼んだ。最近のブロケードによる買収劇を振り返ると、競合他社のマクデータを07年に傘下に収め、FC市場での地位を不動のものにしている。今回のファウンドリーの買収で、FCスイッチを差別化製品に据え、ネットワーク機器全体の市場で主導権を握ろうとしている姿が垣間見える。同市場で大手メーカーとして名を馳せるシスコシステムズの対抗勢力として勝負を挑むわけだ。米国本社でワールドワイドセールス担当のイアン・ホワイティング・シニアバイスプレジデントは、「市場をけん引するリーダー的な役割を果たす」と自信をみせる。
日本では、今年5月に組織的に統合する計画を立てている。そのトップに就任する予定の青葉氏は、かつてシスコシステムズで取締役常務執行役員まで昇りつめ、チャネル戦略などを手がけた経験も持っている。「当社(ファウンドリー)の社長に就任してから、5か月しか経過していない」(青葉氏)ことを勘案すれば大抜擢だ。シスコシステムズを知っていることから、日本でもイーサネットスイッチとFCスイッチを武器に対抗勢力として戦える土台作りに力を注ぐことは間違いない。青葉氏は、「シスコシステムズの素晴らしさは、(勤務した経験もあることから)十分に承知している。同じことは行えないが、独自の切り口で市場シェアを高めていく」とアピールする。

では、日本市場でどのような戦略を展開していくのか。まだ日本法人が統合していないため、現段階では未知数であり、具体的な戦略については今後詰めていくという。しかし、「最も重要なのは販売パートナーとの協業強化」としている。まずは、FCスイッチとイーサネットスイッチを組み合わせたネットワークインフラのソリューション化を模索。「すでに、複数の販売パートナーから両製品とも売りたいとの要望があった」という。こうした販売代理店と製品・サービスの提供拡大に向けた体制を整えていく方針だ。
課題になってくるのが、販売代理店とのパートナーシップ深耕だ。共同でソリューションを作っていくのであれば、パートナーシップを深めるために、販売支援制度の強化や新規代理店の拡充などの手を打つ必要がありそうだ。しかし、「当面は変えるつもりはない」と言い切っている。その代わりに、「ユーザー企業については、データセンターとキャンパス・ネットワーク、サービスプロバイダに絞り込んで開拓する」としている。
となれば、当面の間は対象ユーザーに対するネットワークインフラ提案を得意とする販売代理店との協業強化を重点に置くことになる。その領域で多くの導入成功例を揃え、「近い将来には、横展開を図っていきたい」考えを示す。同社のチャネル戦略の強化は、得意領域を確立した時点で実施することになる。(佐相彰彦)