「PCのライバルはHPとエイサー」
ネットブックの成長に期待
ライバルの弱み・強みと市場を徹底調査する――。レノボ本社にはこのミッションに特化した専門職が在籍している。競合他社とユーザーの要望、市場動向に対する情報を収集・分析しながら、競争力のある製品づくりのサポート役を担う「アンバサダー(大使)」という名の肩書きを持つマフュー・コーハット氏がその人物だ。4月中旬、全世界の重要拠点を回っている最中に、日本で会う機会があった。PCの開発・販売でいくつかのテーマに絞り、同氏の見解を聞いた。
Q1
最も意識するライバルは? エイサーとヒューレット・パッカード(HP)だ。エイサーは価格競争力が高く、HPは製品ラインアップが豊富で優位性がある。デルなども当然ライバル視しているが、この2社を最も警戒している。そんなライバルに対して、レノボの差別化要素は何かといえば、最大の強みは品質。「コモディティ化したPCはどのメーカーも中身は同じ」と思われがちだが、決してそんなことはない。耐久性、低消費電力、電池寿命などハード面で差別化できる部分がたくさんある。品質に対する要求が高く、高いイノベーションを求める日本で開発を継続するのは、高品質を維持するためだ。日本は、市場としても重要だが開発面でも大切な国になっている。
Q2
製品開発ではどこに力点を置く? ネットブックだ。急成長中のジャンルだが、今後もその流れは止まらないだろう。確実に伸びる。ネットブックがヒットした最大の理由は低価格にある。低スペックでも安価に購入できる新ジャンルのPCに、消費者は興味を抱いた。ただ、私の分析では、ユーザーが今ネットブックに求めるものは低価格だけではない。価格が高くても購入する顧客層がいると読んでいる。私は、ネットブックでもローエンドとハイエンドモデルが登場し、二極化が進むとみている。
Q3
今後出てくる新モデルは? ネットブックでは第二世代、第三世代を検討中だ。携帯電話との接続やモニタサイズの変更など、改良・新搭載するテクノロジーを模索中で、ライバルにはない機能を盛り込むつもりだ。それに加えて期待しているのが「Windows 7」。とくにこの新OSに搭載されるタッチ機能に注目しており、指先操作のインタフェースを生かした新ジャンルのPCを検討している。
Q4
オープンソースのOSに興味は? ユニークと思うが、それはないだろう。Linuxが多く使われているのは主にサーバー分野。個人でも法人でもPCでは慣れ親しんだWindowsを活用する状況が続くはずだ。Linuxをクラインアントで利用するにはまだ敷居が高く、依然として“Windows税”を支払っていくことになる。(木村剛士)