海外メーカーが参入に躍起
国内市場でネットワーク(NW)機器やインフラを検証するサービスの需要が急増している。オンライン上での取引が進むなか、機器を提供するベンダーやインフラを導入するユーザー企業が、ともに“止まらないネットワーク”を求めているためだ。なかでも、通信事業者などサービスプロバイダ(SP)やデータセンター(DC)などでサービスを受ける傾向が高まっているようだ。この需要に対して、欧米を中心にビジネスを拡大してきた海外メーカーが日本市場でのビジネス拡大を本格化し始めている。
IPを中心にスイッチやルータなどNW機器の検証サービスを主力事業とするインドのIxiaは、昨年度(08年12月期)にアジア地域の売上成長率で40%増を果たした。アジア地域ビジネス責任者でバイスプレジデントを務めるナビーン・バット氏は、「成長のほとんどが日本市場での伸び」としている。要因は、メーカーでアラクサラネットワークスや日立電線など日本企業からの依頼が多かったほか、NTTグループで案件を獲得したことにある。同社は携帯電話などモバイル関連の検証サービスを実施しており、NTTドコモが興味を示したようだ。
NW機器に加えて、IP電話やIP-PBXなどコミュニケーション関連の検証サービスまでを網羅する米Spirentは、昨年度(08年12月期)の売上高がワールドワイドで10%増を達成。売上比率が30%程度を占めているアジア地域が、増加に大きく寄与した。グローバルサービスのディレクターであるアングス・ロバートソン氏は、「韓国や日本でニーズが高まっている。なかでも通信事業者からの問い合わせが多かった」という。日本では、KDDIグループから話があった模様だ。Spirentが提供するサービスの特徴は、遠隔から機器やインフラの検証ができる「テストオートメーション」にあり、「顧客は、時間と手間がかからないことに関心をもっていた」としている。
両社とも、「一昨年度までは地道にビジネスを手がけてきた」という点で共通しているが、これが昨年度から急激に伸び始めたのは、通信事業者を中心に強固なNWインフラを確保しなければならないニーズが生まれたからだ。例を挙げれば、NTTグループによるNGNの普及や、KDDIグループのUQコミュニケーションズによる次世代ワイヤレスの「WiMAX」サービスの開始など。そのため、「今年も引き続き、日本市場でのビジネス拡大が期待できる」と両社は言い切る。
国内でNW検証サービスを手がけるインテグレータは、主要なところだけでもネットワンシステムズや伊藤忠テクノソリューションズ(CTC)、東洋ビジネスエンジニアリングなど数多く存在している。なかには、IxiaやSpirentなどのような海外ベンチャーの国内代理店となり、サービスを提供し始めているケースも出てきているようだ。国内NW関連市場を取り巻く環境を踏まえると、NW検証サービスが業績を大幅に伸ばす事業に化ける可能性は十分にある。(佐相彰彦)