レノボ・ジャパン(ロードリック・ラピン社長)は、マイクロソフトの新OS「Windows 7」搭載ノートPCで、OSとPCとのチューニング技術を導入し、高速起動などの使い勝手を高めることで他社との差異化を図る。OSの調整はマイクロソフトの協力を得て共同で行った。Windows 7搭載PCはメーカー各社が続々と発売しており、各社が横並びの状況にある。レノボでは、Windows 7の特徴である動作の軽さを向上させる独自の取り組みを行うことで他社製品との違いを打ち出し、販売拡大につなげる。
レノボがマイクロソフトと共同で行ったのは「Windows 7 Lenovo Enhanced Experience(EE)」と呼ぶPCとOSの最適化。法人・個人向けモバイルノートPC「シンクパッド」と、個人向けネットブック「アイデアパッド」で導入した。
具体的には、BIOSとOSの起動時間、シャットダウン、スリープ、スリープからの再起動時間を高速化した。レノボはマイクロソフトが提供する開発ツールを利用し、起動で負担が大きいソフトやコンポーネントを切り分け、モジュール単位でロジックの改善を行うことでパフォーマンスを向上。OSの起動時間では、起動開始後に立ち上がりを遅延させるソフトなどを起動完了後に動作を開始するように動作順序を修正することで起動時間を短縮した。
シンクパッド「T400」モデルで比較した場合、OSの起動はチューニング前の1分弱が20秒、シャットダウンは15秒が9秒弱と、それぞれ57%、40%の立ち上がりの高速化を実現した。
EEでは、7の目玉機能の一つであるタッチ機能でもシンクパッドのタッチパネルモデルやタブレットPC用に最適化を実施。よりスムーズな操作を可能にしたという。
「Windows 7搭載PCという点では各社同じ土俵だが、この独自技術はユーザーにレノボの違いをアピールできる取り組み」と、麻生純一・研究・開発TVT・ノートブック・ソフトウェア開発担当開発部長は、EEについての自信をみせる。
レノボは、EEを施したPCに認定ロゴを本体に貼付してユーザーへの認知度を高める。同時に、EEのロゴをカタログやPCの体験イベントなどでも展開し、幅広い層に訴求していく。
7搭載のモバイルノートPCを巡っては、日本エイサーが実勢価格で6万円を切る製品を投入するなど、低価格化の動きが出ている。レノボはEEを「Windows 7商戦での差異化ポイントにするとともに、付加価値としてモバイルノートPCの低価格への流れの対抗策として打ち出す」(麻生部長)考えだ。(米山淳)

EEを実施した「シンクパッド SL510」(左)とタブレットPC「シンクパッド X200 タブレット」