大塚商会(大塚裕司社長)の2009年度(09年12月期)連結決算は2年連続の減収減益、期首に立てた計画値にも達しない結果に終わった。大塚社長は決算会見で「厳しい環境でも増収増益は企業にとっての義務」と力強く話し、今年度は増収増益計画を立案。営業利益率7%以上(09年度は3.7%)を目指す姿勢を示した。大塚社長は、自らが「不透明感は依然続く」とみる今年度、何をもって成長路線に復帰しようと考えているのか。決算会見で表明された言葉と同社の資料からその方向性を探る。
「景気は第3四半期(7~9月)から回復基調に入ると予想したが、読み違えた。顧客数は増えたものの、顧客単価が下がったことが響いた」。大塚社長は、今年度をそのように振り返っている。増収増益路線をひた走り、07年度には過去最高益を記録。しかしながら、飛ぶ鳥を落とす勢いで成長し続けた中堅・中小企業市場で最強のSIベンダーでも、未曾有の経済不況には勝てず、減収減益に終わった。
「2年連続で嘘をついてきた(計画値に達しなかった)が、増収増益は企業の義務」と力強く説明。今年度は売上高が前年度比で4.9%増、営業利益が同3.8%増の計画を立てた。では、どこで売上高を伸ばすのか。
大塚商会の事業セグメントでいえば、「サポート&サービス(S&S)」は3.6%増を見込む。けん引役を担うのは、10周年を迎えたオフィス用品通販事業の「たのめーる」だろう。昨年度も一貫して好調で、通年の売上高は前年度比4.3%増の実績を残した。今年度は7.5%増を見込み、「2009年4月から10年3月の期間で1000億円越えを狙う」(大塚社長)。
一方、もう一つの主力事業セグメント「SI事業」では6.0%増の成長を見込む。SI関連商品は昨年度、全四半期マイナス成長だったものの、第4四半期は減少幅が大きく縮まり、「回復傾向」(同)にある。今年度、セキュリティ関連商品「OSM」は前年度比5.3%増の計画で、重点戦略事業のなかで最も高成長を見込む。ハードウェアでは「複写機のビジネスは手堅い」(同)とみており、販売台数は前年度比2.5%増を見込む。一方のサーバーは7.4%減、PCは横ばいと、保守的にみている。
異色の商品としてLED電球に着目しており、「環境対策や法規制でLEDに対する関心はかなり高まるはず。昨年度はまだ12億円程度の規模だが、中長期的な成長を見込んでいる」(同)。東京・新宿にLED電球を活用した看板として世界最大規模という電子看板を設置したほか、2月3~5日に開催した自社イベントでは、来場者全員にLED電球をプレゼントするなど、熱が入っている。
景気動向については、「上期は依然不透明なものの下期から回復傾向に入るだろう」と大塚社長は予測した。2010年度の業績計画は、他のSIerに比べれば保守的な計画のようにみえるが、2年連続計画値に達しなかっただけに、2010年は必達目標。かなり現実的な計画を立てた印象を受ける。「5年前の利益水準に逆戻り。また一からやり直す」と語った言葉に、大塚社長の決意を感じる。(木村剛士)

大塚裕司社長は決算会見で取り扱うLED電球を手に持ってPR。LED事業にかける思いを力説した