EMCジャパン(諸星俊男社長)がチャネル事業の組織改革を行った。販社の特性に合わせて、パートナー事業本部内に各部門を設置。組織名を明確化することで、製品レベルや市場のニーズに応じたビジネスを手がけていく方針だ。新しい事業本部長も就任した。同社は、これまでもたびたび組織再編を行ってきた。果たして、今回の改革で、販社の売る意欲を高めることができるのだろうか。
組織改革で製品や市場を明確化
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| 2010年7月1日付で執行役員パートナー事業本部長に就任した中山泰宏氏 |
2010年7月1日に実施したパートナー事業本部の組織改革は、システム・インテグレータやベンダー系のパートナーシップを深める「エンタープライズ・パートナー営業部」をはじめ、リセラーを支援する「ゼネラル・ビジネス・パートナー営業部」、ディストリビュータとの協業強化を図る「ディストリビュータ営業部」、販社関連の「パートナー・マーケティング部」の四部体制。
改革前も四部体制だったが、「第一事業部」「第二事業部」「第三事業部」と、「パートナー・マーケティング部」以外は漠然とした組織名だった。中山泰宏・パートナー事業本部長は、「販売パートナーに合わせた部門を設置した。組織を改革したことにより、製品の拡販や市場ニーズへの対応につなげる」としている。販社向け支援制度の「Verocityパートナー・プログラム」を設置して以来、販社拡大に努めてきた同社が、既存販社とのパートナーシップ深耕を改めてアピールし、さまざまな製品やサービスを販社に売ってもらいたいと意識していることがうかがえる。
EMCの販社は、ハードウェアのストレージ機器を売ることに力を入れる傾向が強い。しかし、「当社はストレージ機器だけでなく、ソフトウェアを含めて多くの製品を揃えている」と、中山パートナー事業本部長は訴える。確かに、バックアップやリカバリなどストレージ関連ソフトをはじめ、仮想化製品ベンダーのヴィエムウェアを子会社として確保していることから、「いかに製品を組み合わせて、ユーザー企業のニーズに対応できるか」がポイントとなる。ユーザー企業を増やしていくためには、各販社の得意な製品・サービス提供のノウハウを生かさなければならない。そこで、各販社の実情をさらに理解するために組織改革を実施したといえる。
また、事業本部長に就任した中山氏は、前職のマイクロソフトのパートナービジネス統括本部長など、ソフト畑の経験が豊富。だからこそ、「ソフトを生かして、製品の持ち味を生かさなければならない」との考えを強くもっている。今回の組織改革においてEMCジャパンは、販社がストレージの枠を超えたビジネスを手がけることに期待していることは明らかだ。(佐相彰彦)