ヨーロッパの在日本大使館などが採用する防弾ドアや防爆ドアを製造するサッシの老舗メーカー、協立サッシ(牛頭憲治代表)。顧客とのコミュニケーションを改善し、仕事の効率を向上させるべく、2010年12月に、アップルのiPhoneを導入すると同時に、エス・アンド・アイ(S&I)の電話発信アプリケーション「uniConnect」を入れた。
協立サッシ
会社概要:1937年に設立した金属製建具メーカー。スチールサッシをはじめ、スチールドアやスチール間仕切、ステンレスドアなどを展開する。従業員数は60人。横浜市中区に本社を構える。
サービス提供会社:エス・アンド・アイ
プロダクト名:UCシステム「uniConnect」
協立サッシでの「uniConnect」の活用
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| 協立サッシ総務部の小室典江部長。「これからは絶対にスマートフォンの時代」と語る |
「uniConnect」をインストールしたiPhoneを従業員に配ったのは、昨年12月24日だった。しかし、社員へのクリスマスプレゼントというつもりでその日にしたわけではない。導入を決断した総務部の小室典江部長は、「年末年始休暇を生かして、遊びながら操作に慣れさせたかった」と、クリスマスイヴに支給した理由を語る。
協立サッシは、もともとPHS端末を内線電話機として利用していたが、PHSシステムに必要な構内交換機(PBX)の老朽化が進み、昨年の秋頃に、PBXの置き換えを余儀なくされた。小室部長は、「プライベートで以前からiPhoneを愛用しており、会社でも今さらPBXか」との疑問を抱いた。そんなことから、コミュニケーションの改善や仕事の効率アップを狙って、操作性にすぐれるiPhoneの導入を決断した。社員一人にiPhone1台を与えるのに合わせ、iPhoneから会社の電話番号で発着信ができるS&Iのユニファイドコミュニケーション(UC)システム「uniConnect」を導入した。
「uniConnect」は、会社番号での発着信、会社のメールアドレスでの送受信を実現し、社内のスケジュールやアドレス帳に同期するので、外出先からiPhoneを使って、まるで社内にいるように仕事をこなすことができる。70年以上の歴史を誇る協立サッシでは、社員の平均年齢が40歳以上ということもあって、「会社に出勤することが仕事だと思っている社員が多い」ことが、小室部長を悩ませてきた。小室部長は、受注につながるよう社員の行動数を引き上げるために、外出先からでも迅速に内線電話や社内メールに対応できるソリューションとして、「uniConnect」の導入に踏み切った。「導入を決める前に、『uniConnect』に類似した製品を検討したが、その製品にはまたPBXが必要だったので、PBXがいらない『uniConnect』に決定した」(小室部長)と経緯を話す。
小室部長は「uniConnect」の活用によって、コミュニケーションの改善や仕事の効率化だけでなく、もう一つのことを目指している。「小さい子どもを抱えている女性社員が簡単に仕事に復帰できるようにすること」がそれだ。仕事と子育ての両立が難しく、有望な女性社員が会社をやめてしまったケースが過去に何度かあったという。そこで、「例えば子供が寝ている間、iPhoneを使って自宅でも仕事ができる環境をつくっていきたい」(小室部長)のだ。
協立サッシがiPhone/uniConnectを導入しておよそ半年。最初の約2週間は、使い方が分からないなど、社員から不満の声が聞こえたというが、今は、社員が新しいITインフラの活用方法にすっきり馴染んできたという。

「uniConnect」を提案したS&I第二事業部の村田良成部長(左)と千葉徳子氏
ただ、「『uniConnect』では電話の保留ができないのがすごく不便」(小室部長)という弱点がまだあるそうだ。「uniConnect」を提案したS&I第二事業部の村田良成部長と千葉徳子氏は、「もうすぐ新バージョン『uniConnect II』が出る。こちらは、電話の保留もちゃんとできる」と、積極的にユーザーのニーズに応える姿勢を示している。(ゼンフ ミシャ)
3つのpoint
・外出先から会社番号で発着信ができる
・モバイル環境でメールの送受信ができる
・スケジュール/アドレス帳に同期する