メイド・イン・ジャパン・ソフトウエア・コンソーシアム(MIJS、内野弘幸理事長)は、「Open Fantastic Global Meeting 2011」を東京の都市センターホテルで開催した。このところ、日系企業の中国市場進出が相次いでいるが、MIJSは設立当初から、中国市場に進出し、現地の日系企業を支援してきた経緯がある。今回のミーティングでは、中国におけるビジネスをテーマにセッションを開催。当日は定員300人を上回る来場者が訪れ、熱心に耳を傾けた。(取材・文/鍋島蓉子)

会場では、参加者が熱心に話に聞き入っていた
中国の弱み補う製品に成功の可能性
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| 熱弁をふるう日本中華総商会会長の厳浩・イーピーエス社長 |
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| 突然指名されて戸惑うクロスボーダープランニングの原義弘社長 |
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| 全体総括するブロードリーフの大山堅司社長 |
「Open Fantastic Global Meeting 2011」は、中国市場に進出し、現地の日系企業を支援してきたMIJSの経歴に絡めて、中国ビジネスに関連する情報発信が行われた。
MIJSの理事でサイボウズ社長の青野慶久氏が挨拶した後、第1部の講演では日本中華総商会の会長であるイーピーエスの厳浩社長が講演を行った。
第2部では、中国でビジネスを展開する、ウイングアーク テクノロジーズ、サイボウズ、インフォファーム、東洋ビジネスエンジニアリング、WEIC、クオリティソフト、ヴィンキュラム ジャパン、ビーエスピーの8社が、ソリューションを紹介。休憩をはさんで、BCNの奥田喜久男社長をモデレータとして、東洋ビジネスエンジニアリングの A.S.I.A.事業部 館岡浩志氏、サイボウズの青野社長、WEICの内山雄輝社長、クオリティソフトの中国法人である闊利達軟件(上海)の飯島邦夫総経理、そしてゲストパネラーとして日本中華総商会の理事でブロードリーフの大山堅司社長がパネルディスカッションを行った。
冒頭で挨拶したサイボウズの青野社長は「今日のこのミーティングは、『単に、勉強になりました、よかったです』というだけでは終わらせたくない。真剣に海外に出て行かないと生き残れない時代に何かを学び、次のアクションを起こすことのできる場にしたい」と語った。
第1部で演壇に立ったイーピーエスの厳社長は「グローバル経済情勢における、中国ビジネスのチャンスと成功の秘訣」と題して、流ちょうな日本語を駆使して話した。
厳社長は自身が生まれ育った中国における社会情勢など大きな変革の波を振り返り、日本が経験した消費者の意識や行動は、20年のタイムラグを経て中国でも起こっていることを説明。「日本は自分のもっている一歩先んじたノウハウ、失敗経験を生かせば、中国進出は十分果たせるはずだ」と述べた。日本の企業は自分の強みと弱みをよく分析し、中国の弱い部分を補う製品を投入すれば成功の可能性があると示唆。日本の強みである「技術」を、中国のパートナーとともに展開していく必要性を語った。
「人・モノ・金」テーマに議論
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| 挨拶に立つMIJS理事の青野慶久・サイボウズ社長 |
第2部の冒頭、中国進出を果たしている会員企業のソリューション導入事例を紹介。それぞれが経験した失敗談や課題などを踏まえて、日系企業をどう支援していったか、具体的に説明した。
ミーティングの後半では、BCNの奥田社長がモデレータとなり、「中国ビジネスの実態と攻略法」と題し、「人(人材)・モノ(製品)・金(売り方)」を切り口に登壇した5社の代表が持論を展開。 優秀な人材を獲得するための秘策や製品面での工夫、各企業が試行している中国市場の攻め方などを、時折り笑いを交えながら、意見を交わした。
途中、マイクロソフトチャイナに3年間勤務した経験があり、会場では聴講席に座っていたクロスボーダープランニングの原義弘社長に、中国の人材についての意見を求める場面もあった。「(奥田社長に)指名しないでくださいと言っておいたのですが、指名されてしまいました」と苦笑しながらも、当時の状況を振り返った。
最後にゲストパネラーの大山氏がパネルディスカッションを総括した。「中国人は決断が速く、上昇指向が強い。上司は部下をきちんと評価して、成果に応じた報酬を支給すること。また、ソフトウェアはそれが市場で必要であり、ノウハウが詰まっていれば必ず売れる。現地企業を攻めるならば、それぞれの民族の気質を理解しているパートナーを選ぶことが重要なポイントだ」と締めくくった。

パネルディスカッションの様子。左から、モデレータを務めたBCNの奥田喜久男社長、クオリティソフトの中国法人、闊利達軟件(上海)の飯島邦夫総経理、サイボウズの青野慶久社長、東洋ビジネスエンジニアリングの館岡浩志氏、WEICの内山雄輝社長、日本中華総商会の理事を務めるブロードリーフの大山堅司社長