洋生菓子製造販売のモンテール(鈴木徹哉社長)は、データ・アプリケーション(DAL、橋本慶太社長)の流通BMS対応EDI(電子データ交換)システムを活用し、受注の精度や速度について大幅な向上を果たした。同社は、菓子を製造するかたわら、自ら販売ルートを開拓してきた。販売店などからの受注データが急増してきたことを受けて、DALが開発した電子データ交換のパッケージソフトウェア「ACMS B2B」を採用した。
モンテール
会社概要:1954年創業。90年代初めからは洋生菓子など要冷蔵(チルド)食品の品揃えを拡大してきた。今は常時50~60アイテムの洋生菓子を主力商品とし、コンビニやスーパーなど自ら販路を開拓。業績を伸ばしている。
パッケージソフト提供会社:データ・アプリケーション(DAL)
製品名:ACMS B2B(電子データ交換)、AnyTran(フォーマット変換)
「ACMS B2B」と「AnyTran」を活用したシステム概要図

左からモンテールの奥谷淳史主任、鈴木智也常務、モンテールバリューの大山英治リーダー
モンテールは、スーパーやコンビニなどの小売店に向けた独自の販売ルートを精力的に開拓している。販路開拓は2005年頃から本格化し、これに伴って売り上げも右肩上がりで伸びた。2007年には岐阜県に美濃加茂工場を新設。茨城県のつくば工場を中心とした関東地区にプラスして、中部地区でのシェア拡大に努めている。業容拡大とともに基幹情報システムも段階的に拡充しており、この一環として2007年、データ・アプリケーション(DAL)が開発した「ACMS B2B」を採用してEDIまわりを刷新した。
流通業界のEDIシステムで新標準と位置づけられる流通BMSに対応した「ACMS B2B」と、同じくDAL製品のデータフォーマット変換「AnyTran」、既存の他社ファイル転送ソフトなどを組み合わせるかたちで、流通BMSや従来型EDIとモンテールの基幹情報システムとのスムーズな連携を実現したものだ。
モンテールの主力商品はシュークリームなどの洋生菓子で、店舗到着から3日目で消費期限を迎える。鮮度が命であり、受注した商品はその日のうちに生産して出荷する。モンテールの鈴木智也常務は、「1分でも早く受注情報を基幹業務システムに取り込んで、すぐに生産ラインに反映させたい」と、時間との勝負だと話す。ましてや受注データのやりとりでエラーが発生したり、情報システムのユーザーインターフェースの使い勝手が悪くて受注担当者が入力ミスを繰り返すようでは、生産を大きく阻害することになりかねない。
そこで選択したのが、EDIの実績が豊富なDALのパッケージソフトだった。EDIは不特定多数の企業間で取引する性質上、一貫性が重要視される。さらにいえば、業界標準の流通BMSはオープンな規格であり、EDIソフト間の差異化が難しい。システム選定に参加したモンテールの奥谷淳史・情報システム課主任は、「継続稼働を行うための冗長性とエンドユーザーの操作性への配慮、そしてシステム構築(SI)の過程でしっかりサポートするDALの姿勢を評価した」と、規格ではなくサポート力を重視したと選定の理由を話す。
DALでは、「ユーザーが求めている業界動向や製品情報の提供、そしてSIへのサポートをメーカーの立場で積極的に行っている」(DAL営業グループビジネス推進チームの湊本智昭氏)として、安定稼働を実現する冗長性や、モンテールの受注担当者のミス誘発を防いで、使いやすいユーザーインターフェースづくりもSIer(富士通システムソリューションズ)を通してサポートした。
主にEDIとして重要な取引先とのデータ交換の実行予定や実行履歴の管理、そして出荷や請求処理に関わる部分で、各社の的確な情報提供とサポートでモンテールでは自社の業務に最適化した参照画面をつくり、操作性の向上・運用コストの削減を果たした。
モンテールのグループ会社で情報システムなどを担当するモンテールバリューの大山英治・IT戦略チームリーダーは、「コンビニやスーパーが休まないのと同じく、当社も365日休まず生産している。したがって、迅速でエラーやミスのない確実なデータ交換がビジネスの拡大に欠かせない」と、EDI製品の信頼性と完成度の高さ、SIに必要な適度なサポートを重視する姿勢をみせている。(安藤章司)
3つのpoint
・EDIは迅速・確実な処理が求められる縁の下の力持ち
・パッケージ製品でも適度な情報開示で使い勝手を改善
・業界標準の流通BMS対応で将来に向けた互換性を担保