大手NIerのネットワンシステムズ(吉野孝行社長)は、2009年、ユーザー企業のネットワーク環境を再現して製品の機能や相互接続性を検証するテクニカルセンターを新設した。そして、同センターのラックのPDU(電源タップ)として、電源供給のリモート管理ができるラリタン・ジャパンのPDU「Dominion PX」を導入した。そして昨年の“節電の夏”、「Dominion PX」を活用した電力管理の効率化によって、消費電力を20%以上削減することができた。
ネットワンシステムズ
会社概要:1988年設立の大手ネットワークインテグレータ(NIer)。ネットワークの設計やネットワーク機器の販売を手がける。2012年3月期の売上高は1454億2700万円。従業員数は1840人。東京・東品川に本社を構える。
製品提供会社:ラリタン・ジャパン
製品名:インテリジェントPDU「Dominion PX」
テクニカルセンターの全容とセンター内温度の表示
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ネットワンシステムズ 諸井渡テクニカルセンター長 |
ネットワンシステムズは、2009年10月、テクニカルセンターを東京・品川区内に新設したことをきっかけとして、コンソールサーバーやKVMスイッチなど、センターのインフラを構築する機器のメーカーを統一することの検討を開始した。ラック内のIT機器に配電するPDUを含め、すべてのインフラ機器を一社で提供することができるベンダーとして、ラリタン・ジャパンに着目した。
ラリタン・ジャパンが“インテリジェントPDU”と謳う「Dominion PX」は、サーバールームの消費電力を最適化することができるもの。ネットワンシステムズでテクニカルセンター長を務める諸井渡氏は、「PDUの製品選定にあたって、電源供給のリモート管理ができることをとくに重視した」と述べる。テクニカルセンターで機器の運用・管理を手がけるスタッフは10人で、Dominion PXを導入する前は、不要な電源を落とす作業を手動で行っていた。「そうした電源管理作業の効率化を喫緊の課題と捉えて、リモートで電源供給のオン・オフを制御することができるDominion PXの導入を決めた」というわけだ。
導入の決断を促したのは、ラリタン・ジャパンがネットワンシステムズの要望を受け、約6000口にも及ぶPDUのコンセントの形態をカスタマイズしたことだという。諸井テクニカルセンター長は、「コンセントは、従来のかたちでは当社のテクニカルセンターで使いにくいとみた。そこで、コンセントを当社に合った形態に変えるという注文をつけ、わがままを聞いてもらって、短時間でカスタマイズを実現してもらった」と、ラリタン・ジャパンの迅速な対応を評価する。
ネットワンシステムズは、テクニカルセンターの開設に合わせて約300台の100VのPDUを導入し、その後、150台ほどの200VのPDUを追加で入れた。Dominion PXの合計約450台を、ラリタン・ジャパンのKVMスイッチなどと一緒に利用し、インフラ機器のメーカー統一を実現している。
そして、大幅な節電を余儀なくされた昨年の夏、導入時には想定していなかったかたちで、リモートで電源供給のオン・オフができるDominion PXの機能をフルに活用することができた。同社は節電対策の一環としてDominion PXを利用し、使用されていない検証用機器を遠隔操作で特定して電源を落としたのだ。諸井テクニカルセンター長は、「検証用機器の電力管理の効率化をはじめとする節電対策を講じた結果、2011年の夏の最も暑い時期に、テクニカルセンター内の消費電力を20%以上削減することができた」と述べる。
同社は昨年の経験を踏まえ、今夏もテクニカルセンターでの節電に取り組む。「Dominion PXを活用して、部門ごとやユーザーごとの消費電力を可視化し、報告書をつくる。使うエネルギーを見える化することによって、節電に励む意識を高めたい」(諸井テクニカルセンター長)としている。(ゼンフ ミシャ)

テクニカルセンターの19インチラックのPDUとして、リモートから電源供給のオン・オフを制御できる「Dominion PX」を採用
3つのpoint
・メーカー統一で全機器をシームレスに使える
・コンセントの形態のカスタマイズに対応
・遠隔で電源管理を行うことができる