ディストリビュータのネットワールド(森田晶一社長)は、EMCジャパンの協賛を受けて「EMC iSM 2012」を、大阪、名古屋、福岡、東京の4都市で開催した。セミナーの参加者であるSIerやユーザー企業などに対して、「クラウド」や「災害対策」などをEMC製ストレージで実現できることをアピールした。販社の立場で製品を評価して、参加者が気になることを解決するセミナーに仕上げた。(取材・文/佐相彰彦)
低価格クラウド環境を実現
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ストラテジック・ プロダクト営業部 小澤康弘氏 |
「EMC iSM 2012」は、大阪で6月15日、名古屋で19日、福岡で20日、東京で21-22日に開催された。まずEMCジャパンが、5月に米ラスベガスで開催したプライベートイベント「EMC World 2012」の結果を報告。そのイベントでも発表したユニファイド・ストレージ「VNX」や「VNXe」、バックアップソフト「Avamar」や「Data Domain」の新しい機能も紹介した。
EMCジャパンがメーカーの立場で製品の機能などをアピールした後、「VNX」「VNXe」が実際に現場でどのような効果を発揮することができるのかをネットワールドが説明。ストラテジック・プロダクト営業部の小澤康弘氏が、「『チャレンジクラウド 2012』300台のサーバ統合! EMC VNXだからできる理想的な低価格プライベートプラウド」と題して講演した。小澤氏は、「ITセントリックからユーザーセントリックへとコンピュータの利用環境が変化しており、性質の異なるサービスをつなぎ合わせて利用価値の高いサービスを提供できる時代に突入している。これまでと同様の概念では、ビジネススピードの対応に限界がある」と断言した。そして、100~300台のサーバー統合を考えているシステム管理者や、今後3年以内にクラウドインフラ設備の導入を検討しているユーザー企業などを対象に、自動階層化ソフト「FAST VP」と高速なSSDをキャッシュに用いる「FAST Cache」の組み合わせによる性能向上と自動階層化、「ニアラインSAS」の活用によるコストダウン、レプリケーションによる事業継続計画(BCP)対策など、VNXの導入で実現できる効果を訴えた。
「できる」「できない」を明確に
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| 平松健太郎氏 |
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| 宮本隆史氏 |
続いて、ストラテジック・プロダクツ営業部の平松健太郎氏が登壇し、「100万円から買えるEMCストレージ その実力と限界に迫る~VNXeで出来ること、出来ないこと、白黒ハッキリさせます」と題してセッションを行った。平松氏は、「仮想化は大規模環境だけのものなのか」と疑問を投げかけながら、「ヴイエムウェアが中堅・中小企業(SMB)で急激に成長している。一方、仮想環境では高可用性ストレージが必須になっている」と実情を説明。そのなかで「VNXe」がSMBに最適な仮想化環境を提供するストレージであることに言及した。「VNXe」がユニファイドストレージとしてNASやiSCSI接続、仮想環境、レプリケーションなどで利用できるメリットも訴えた。
その一方で、ユーザー企業の予算に応じて構築できるシステム構築の限界も説明。「VNXe」が最小構成で100万円を切る価格設定であることを前提に、VMware環境であればライセンスとして50VMまででSASディスクをできるだけ搭載して360万円程度、ファイルサーバー環境でニアラインSASをできるだけ搭載して380万円程度などと、システム構成の価格設定を例に挙げた。
ほかにも、同部の宮本隆史氏による「198万で2台買えるDD160でどこまで災害対策が出来るか大暴露」と題したセッションを用意。「Data Domain」シリーズでエントリーレベルの重複除外バックアップソフト「DD160」2台であれば200万円を切るコストで災害対策が行えるようになるほか、テープ装置と比較して5年間で500万円弱のコスト削減が図れることをアピールした。
ネットワールド主催の「EMC iSM 2012」で特徴的だったのは、ディストリビュータの立場から機能面だけでなく詳細なシステム構成を説明して、価格のイメージも伝えていたことだ。セミナーには、多くの参加者が集まった。実際の現場で繰り広げられている商談を生かしながら、製品を評価するセミナーであることから、SIerやユーザー企業などがネットワールドの実体験を有益な情報として収集しようと訪れていたとみられる。