インフォベック(山口俊昌社長)のモバイル戦略が明らかになってきた。今年7月に開催したGRANDITコンソーシアム総合フォーラム「GRANDIT DAY 2012」で、企業のスマートデバイス導入を支援するフレームワークを発表。新たに立ち上げたパートナー制度のもとでは、法人向けスマートデバイス分野に強いジェーエムエーシステムズと提携している。
個人市場の技術やサービスが法人市場に影響を与えるようになることを指す「コンシューマライゼーション」。ERP(統合基幹業務システム)業界にとっても無視できない一大潮流となっている。ソーシャルやモバイル、クラウド・コンピューティング、ビックデータといったさまざまな要素をERPに取り込む動きが慌ただしくなってきているのだ。
中堅企業向けERPである「GRANDIT」事業の推進母体であるインフォベックは、モバイル戦略を推進するために、企業のスマートデバイス導入を支援する「GRANDITスマートデバイスフレームワーク」を新たに用意した。開発プラットフォームごとの違いを吸収する開発フレームワークやウェブAPI(アプリケーション・プログラミング・インターフェース)、GRANDITパートナー企業によるキッティングやセキュリティ、デバイス管理などの導入ソリューションで構成している。
「スマートデバイスフレームワーク」を支えるのが、今年7月18日に新たに立ち上げたパートナー制度「アライアンス・ボード」だ。第1号パートナーとして、スマートデバイス関連システムの導入・開発に強い日本能率協会グループのジェーエムエーシステムズが加盟している。「アライアンス・ボード」は、コンソーシアムの準会員で、特定の技術やサービスに高い専門性をもつパートナー企業で構成する組織。保有するノウハウを「GRANDIT」に積極的に取り入れて、新サービスの提供を加速する方針を示している。
スマートデバイスの業務利用に関しては、ユーザー企業からの期待が大きい。だが、実際の活用シーンは限定されており、いまだに手探りなのが実情だ。うまく進まない要因の一つが、スマートデバイスの利用を通じて実現できることがイメージできていないことだ。もう一つの要因として、SIerの多くがスマートデバイス向けソリューションの開発・販売ノウハウに乏しいことが挙げられる。
インフォベックの高橋昇・社長室室長は、「『アライアンス・ボード』で、モバイル分野に強いパートナーとインテグレーションのパートナーが連携できるようにする。開発だけでなく、セキュリティやネットワーク、デバイス管理などについてジェーエムエーシステムズのノウハウを取り入れる。製品のコアレベルで連携を強めていきたい」と語る。
すでに無視できないほどの大きなうねりとなったスマートデバイスの業務利用に、積極的に対応する姿勢を鮮明にしている。(信澤健太)

500人ほどの参加者を集めた講演会