インフォコム(竹原教博社長CEO)は、中期経営計画の達成に向けた事業推進の一環として、完全ウェブ型ERP(統合基幹業務システム)である「GRANDIT」を中心とする製品群の強化を進めている。「GRANDIT」と連携する「BI ダッシュボード for GRANDIT」の発表は、そうした取り組みの一つ。同社が提唱する「スマート経営」の実現を手助けするソリューションとして、6月に販売に乗り出した。(取材・文/信澤健太)
経営課題を”スマート”に解決
インフォコムは、中期経営計画の重点項目の一つに、「GRANDIT」を含むITサービスの変革・拡充を掲げている。「GRANDIT」については、ユーザー企業のグローバル化支援の強化、企業向けクラウドサービスの推進などを重点戦略に据えている。秋口までには、英語・中国語に対応する予定だ。
重点戦略の一環として、新たなキーメッセージとして打ち出したのが「スマート経営」だ。同社は、企業が抱える経営課題を効率よく“スマート”に解決して事業の拡大を支援する製品群を、「スマート経営」ソリューションと称している。
森田昇・サービスビジネス事業本部副本部長兼サービスビジネス営業部部長は、「市場環境の変化のスピードが速くなっているが、企業の多くはそれに追いつくことができていない。当社は、そうしたギャップを埋める商材を取り揃えてきた」と語る。経営の状況を絶えず見直し、企業価値を高めることができるのが、「スマート経営」たるゆえんなのである。
「GRANDIT」に標準で搭載しているBI(ビジネスインテリジェンス)機能と連携する「BI ダッシュボード for GRANDIT」は、今年6月に投入した「スマート経営」ソリューションという位置づけだ。「GRANDIT」に蓄積した膨大なデータの自動集計やリアルタイムな経営分析が可能だ。グローバル企業は、海外拠点の実績データを集約した業績を把握することができる。加えて、PCだけでなく、iPadにも対応している。価格は、オンプレミス型で300万円から。クラウド型での提供も予定している。

東風平朝章セールスグループ副課長(左)と新屋寛行ソリューションチーム副課長
導入コストの低減につながる
具体的に「BI ダッシュボード for GRANDIT」の機能をみると──。ポータルには、SQL Server ReportingServiceのAPI(アプリケーションプログラミングインターフェース)を使ったダッシュボードレポートの表示機能をはじめ、お知らせ機能やレポートに関するメニュー機能などを実装している。このほか、ユーザーを登録したり削除したりできるユーザー管理機能、「GRANDIT」の標準BI機能と連携して販売・経理モジュールのデータをレポーティングする機能などがある。
なお、レポートは標準で19種類を用意している。月次のP/L(損益計算書)科目予実対比や月次のKPI(売上高利益率)、部門・取引先・商品・プロジェクトなどのカテゴリセグメント別、得意先地域別など、レポートは多岐にわたる。
例えば、例年と比較して売上総利益率は高くなったけれども営業利益が思ったほど伸びていない場合、販売管理費に原因があるのではないかといった分析ができる。同業他社の売上総利益との比較も可能なので、自社の業績面における立ち位置も一目瞭然となる。
新屋寛行・サービスビジネス事業本部GRANDIT事業部ソリューションチーム副課長は、「信用調査などを手がけるリスクモンスターが収集している企業データベースを活用するサービスを、有償で提供している」と説明する。
もともと、「GRANDIT」のBI機能では、Microsoft ExcelなどをOLAP(オンライン分析処理)ツールに使うことが可能で、Excelからキューブに連携して表やグラフの形でさまざまな分析結果を得ることができる。「BI ダッシュボード for GRANDIT」は、よりグラフィカルな表現を強化しており、業績や問題点を可視化しやすくなった。

iPadでBIダッシュボードを参照できる
新屋副課長は、「これまでは、『GRANDIT』とIBM CognosやDr.Sumとの組み合わせで提案することが少なくなかった。「BI ダッシュボード for GRANDIT」であれば、ユーザー企業は導入コストを抑えられる」と語る。東風平朝章・サービスビジネス事業本部GRANDIT事業部セールスグループ副課長は、「順次、業種別にテンプレートを拡充する」と、計画を明かす。

グラフィカルな表現が特徴
導入目標は、初年度に10社以上の新規ユーザーの獲得。「GRANDIT」の既存ユーザーへの提案も進める。パートナーであるコンソーシアムメンバーと協調して拡販する構えだ。