IDC Japan
ソフトウェア&セキュリティ
ユニファイドコミュニケーション&コラボレーション
リサーチマネージャー
眞鍋 敬
データにみる市況
コラボレーティブアプリケーションの一部であるエンタープライズソーシャルソフトウェア市場の規模はまだまだ小さいが、5年間で平均40%以上は伸びる。重要なのは周辺市場へのインパクトだ。2016年には、コラボレーティブアプリケーション、ERM(エンタープライズ・リソース・マネジメント)市場、CRM(顧客関係管理)、アナリティクスを合計した市場規模のうち22%がソーシャルビジネスの影響を受ける。間接的には、ビッグデータやクラウド、モビリティ、ユニファイドコミュニケーションが影響し合うことになる。400億~500億円規模の市場でソーシャルテクノロジーが使用されるとみている。
注目すべき動向
「eメールやグループウェア、ナレッジマネジメントなどのこれまでのツールと、ソーシャルビジネスとは何が違うのか」と質問される。従来のコラボレーションツールと大きく違うのは、ソーシャルネットワーキングテクノロジーを使った企業コラボレーションから新しい価値が生まれていることにみてとれる。
例えば、「いいね!」された数を目に見えるかたちで定量化することで、「いいね!」が多い人のアイデアを優先的に検討できる。企業が課題を解決する時間を短縮し、スピードを生む。IDCでは、これを「Agility(敏しょう性)」と呼んでいて、企業で求められるようになると考えている。eメールと違って自身の意見を周囲が閲覧できるので、あまり変なことは書き込めない。書き込む内容の質は向上するし、自動的にアーカイビングもできる。誰がどのようなノウハウをもっているのか「Transparency(透明性)」が生まれ、ノウフー(know who)を実践して個人の能力を発見しやすくなる。
既存ユーザーとのコミュニケーションサークルとして使用したり、新製品を開発するためのプロジェクトマネジメントツールとして使用したりしている企業がある。ある企業では、最良のケースで開発期間が20%縮まったという結果が出ている。
ITベンダーへの提言
ベンダーは、従来のコラボレーションツールとソーシャルビジネスの相違点やソーシャルビジネスの効果を訴求しつつ、ユーザー企業への導入ステップとソーシャルビジネスが生み出すデータのビジネス活用を提案することが重要だ。
※IDCによるソーシャルビジネスの定義は「ウェブ2.0テクノロジーを組織や企業文化、企業内ビジネスプロセスに適用し、人と人とが相互接続されたもの」見逃したらソン! 最新データ
▼IDC Japan調べ『2012年第2四半期 国内サーバー市場動向』
2012年第2四半期の国内サーバー市場規模は、前年同期比マイナス18.5%の1045億円で、出荷台数は同マイナス31.9%の13万3000台。前年同期の独立行政法人理化学研究所向けの「京」の大型案件と震災後の大幅なプラス成長の反動が大きく現れた。
▼ノークリサーチ調べ『2012年国内クラウド市場規模調査報告』
2016年の国内クラウド関連市場規模は1931.2億円に達する見込み。2012~2013年はSaaSにおける価格下落の影響がみられるが、中堅下位企業層は高止まりとなる。2016年には年商100億円未満では一巡感があるが、年商100億円以上ではクラウド移行が拡大する。