有力SIerの日立システムズで、製造業向けERPパッケージ「Infor10 ERP Business(SyteLine)」を専任で販売する営業マンとして、新規顧客の開拓に励んでいる高田英明さん。毎朝8時30分に出社し、夕方4時頃に訪問活動を終えて帰社する。帰社後は商談相手の企業に提案するための資料づくりなどに没頭し、夜10時前後に帰宅するというハードな日々を送っている。今回は、高田さんのワークスタイルにスポットを当てて、成果を上げる営業のコツを探る。(構成/ゼンフ ミシャ 写真/大星直輝)
夜は生産管理の勉強にいそしむ
前号で述べた通り、私は今、製造業向けERPパッケージの「Infor10 ERP Business(SyteLine)」を販売している。当社のなかで、私一人がこの製品を専門に扱っている。販売先は工場をもつ企業で、基本的には飛び込みで訪問し、顧客を開拓する。
このような営業活動で、心がけていることを紹介しよう。
営業活動は、準備が大切。お客様を訪問する前に、必ずその企業の関連情報を詳しく調べて、頭に入れておく。訪問するつもりの会社が上場企業であれば、IRデータをもとに、どの事業のどの分野が伸びているかについて情報を集めたり、その会社の周辺にある人気のお店をインターネットで調べて共通の話題になるようなネタを探したりする。朝は早い時刻に出社し、集中力を発揮できる時間帯を使って、お客様のビジネスを細かく分析する。
私が担当している製品は、生産管理のノウハウがなければ、相手に響く提案ができない。日々の営業活動に必要となる専門知識を身につけるために、夜、仕事が終わった後に会社に居残って、生産管理の勉強をしたり、製品の操作を覚えている。夜遅くまで仕事をするので、きついと感じることもあるが、もともとセールスエンジニアを目指していたので、技術ノウハウを自分のものにすることにはやり甲斐と満足感を覚えている。夕方の6~7時頃には集中力が落ちがちになるが、そんなときは、コンビニで大好きなシュークリームを買ってきて、甘い物を食べて気分転換をしている。
入社4年目の頃、自分には粘り強さが不足していて、営業に向いていないと思って落ち込んだ時期があった。そのピンチを乗り越えることができたのは、粘り強く提案をし続けた案件の受注に成功したことで自信がついたからだ。
その案件は、ある製造業のお客様が相手だったが、最初に提案したときには、担当者に「うちは紙を使って生産管理をするので、ERPパッケージはいらない」と、きっぱりと断られた。しかし、私は諦めず、自分の上司の粘り強い営業姿勢を見習って、お客様の潜在的なニーズを掘り起こして、提案を改善することに専念した。例えば、当社製品の活用によって紙のコストをどのくらい削減することができるかを、具体的な数字で示すことに取り組んだ。いろいろと工夫しながら、およそ4か月をかけて、何回も何回も製品のメリットを訴求し続けた。そして、その戦略が成果に結びついた。お客様には私が勧めるERPパッケージの導入を決めていただき、今も当社の製品を使ってもらっている。
私は決して弁が立つタイプではないけれども、お客様にきっと役立つはずという信念をもって営業活動を続けている。
●日常使う営業ツール.......... コクヨS&T製の「CamiApp(キャミアップ)」のノート。専用アプリケーションを用いてスマートフォンのカメラでノートを撮影すると、傾きや歪みを自動補正し、手書きの文書をデジタル化するツールだ。高田さんは、このノートとiPhoneを活用し、営業訪問先で取ったメモをデータ化し、同僚と情報を共有するなど、「アナログ」と「デジタル」の連携を実現している。
●上司からのひと言.......... 「高田君との直接的な関わり合いは2011年4月からで、1年半にわたって一緒に仕事をしている。彼は、当社の優秀で得難い人材の一人であることは間違いなく、この10月からは『主任』の役職に就いた。これからの一層の活躍が楽しみだ。お客様の課題や潜在的なニーズを引き出す営業スタイルにさらに磨きをかけて、国内外を問わずグローバルで活躍する営業パーソンを目指してもらいたい」(第四営業部 鈴木博部長代理)