アイ・ティ・アール(ITR)
シニア・アナリスト
舘野真人
データで読む可能性
2011年度のウェブゲートウェイ・セキュリティの市場規模は55億円だった。URLフィルタリング市場が同年度52億円なので、規模はあまり変わらない。ただし、2016年度にはウェブゲートウェイ・セキュリティの市場規模が105億円にまで成長する一方で、URLフィルタリング市場は69億円となる見込み。ウェブゲートウェイ・セキュリティ市場は、2011年度から2016年度までのCAGR(年平均成長率)が13.8%と高く、CAGR13.5%のファイアウォール/UTM市場とともに市場全体の成長をけん引するだろう。
メールよりもウェブのほうがトラフィックの増加に勢いがあり、企業では現在のセキュリティ製品のスペックでは対応しきれずに何らかの増強が必要になってくる。買い替え需要が安定的に見込めるので、セキュリティベンダーにとって開発しやすい環境だといえる。これが有望視される理由だ。
急成長の背景
これまで日本企業の多くは、メッセージング・セキュリティでの対策に重点を置いてきた。ウェブに関してはURLフィルタリングに任せているという状況があり、2ちゃんねるやポルノサイトを閲覧しないようにアクセス先をコントロールするという考え方が主流だった。だが、あくまでもリスト化したURLにアクセスしてよいかどうかをカテゴライズするだけで、アクセス先でマルウェアを拾うような危険性には無力だ。
2009年頃、コーポレートのウェブサイトにマルウェアを仕込むGumblar(ガンブラー)攻撃が問題になった。正当なURLをもっているサイトでも改ざんされてしまう。そのため、ウェブアクセスをスキャニングする必要性が高まってウェブゲートウェイ・セキュリティが脚光を浴びるようになった。最近は、特定の企業や組織のユーザーを狙う標的型攻撃(APT)の増加を受けて重要性が高まっており、対応が急がれている。
最新の製品動向
URLフィルタリングやプロキシサーバー、キャッシュなどの機能を統合するようになってきている。APTは、基本的にはシグネチャーベースのブラックリスト型のスキャニングでは対応できないので、仮想的に保護された領域でプログラムを動作させる「サンドボックス」で全件チェックするアプローチを取る製品も登場している。
(構成/信澤健太)
見逃したらソン! 最新データ
▼シード・プランニング調べ
『LTE・4G携帯電話のグローバル市場展望』 2011年度の国内のLTE市場は、携帯電話の全加入数1億3502万のうち、1.7%に当たる229万だった。2012年度は、携帯電話全加入数1億4514万のうち、LTEが10.6% 1550万になると予測。2017年度には、携帯電話全加入数1億9034万のうち、LTEが66.2% 1億2600万になるとみる。
▼IDC Japan調べ
『国内ブレードサーバー市場 ベンダー競合分析』 ブレードサーバー上位5社の「シェア獲得能力」と「機会獲得能力」について分析。「Leadership」ポジションをNECが獲得した。一方、他のベンダーは、日立製作所を除き、x86ブレードサーバーの出荷台数シェアを前年同期比で落とした。