三井情報でデータセンター(DC)サービスの営業に携わる永尾旭さん。かつて、お客様から「君を信頼できない」という厳しい言葉が飛んできた出来事があり、これがきっかけで信頼関係の構築を重視するようになった。商談だけでなく、雑談をしに客先に足を運んだり、先方の休日作業に顔を見せるなど、「お客様と密に接する」ことを心がけている。(構成/ゼンフ ミシャ 写真/大星直輝)
営業としての存在感を示す
前号で語ったように、前の会社で、お客様に「システムエンジニアに頼り切りの君は、心から信頼することはできない」とお叱りを受けた。この出来事を機に、お客様との深い信頼関係を築くことをモットーとしてきた。自社のシステムエンジニアに頼るのではなく、自ら課題を読み取る。そして、タイムリーに解決案を提案する。能動的に行動することで、自分の存在感を高めることを常に意識している。
2008年に入社した三井情報では、DCサービスの営業を任されている。お客様のシステムをDCで構築するサービスの提案は、信頼を勝ち取ることができるかどうかが一番の決め手になる。自社のシステムをDCに預けて大丈夫かと、不安でいっぱいのお客様が多いのは当然だ。貴重なデータが入っているサーバーを遠隔地にあるDCに移さなければならないからだ。お客様の不安を払拭するために、私は、DC利用のいい点も悪い点も包み隠さずに説明する。そして、先行事例も必ず紹介する。ユーザー視点に立って、お客様が抱えておられる不安や悩みを想定しながら、商談を進めていく。
三井情報への転職を決めたのは、先輩からオファーをもらったのがきっかけだ。前職で一緒に働いていた先輩は、先に三井情報に入社して、私を呼んでくれた。そして、ユーザー目線で提案することの大切さを教えてくれた人でもある。
三井情報に入社して間もなく、信頼関係を重視する営業スタイルが功を奏して、大型の案件受注につながった。387拠点をもつ企業から、全拠点にITリソースを集中管理するためのサーバーを導入するという注文を受けた。サーバーの構築だけでなく、クライアント端末設定までを一括で請け負い、短納期でプロジェクトを完結させた。そのお客様は、競合他社からも提案を受けると聞いていたが、私は早い段階からお客様の下に通い詰め、金額や段取りの交渉を行った。お客様と接する機会をできる限り多くもとうと決意して、とくに用事がなくても顔を出すように努めた。その結果として、注文を受けることができたと思う。
私は、お客様との雑談を大切にしている。商談ではなく雑談だからこそ、構えずに本音を話してもらえるし、ITに何を求めているかについてのヒントを得ることができる。また、進行中のプロジェクトで、お客様が休日に作業を行う段取りになった場合は、自分も顔を出して担当者と話を交わす。こうして、営業担当としての存在感を高めて、お客様にいつでも頼りになる存在としてみられることを心がけている。
会社の看板を背負う以上は、「会社」対「会社」のつき合いになりがちだ。しかし、世の中にはありとあらゆるソリューションが溢れている。そんな状況にあって、最後は「人」対「人」が決め手になる要素が大きいと思う。DCサービスは、大きな可能性をもっている商材だと確信している。今後も、お客様とのパイプを太くして、DCサービスの拡販に力を発揮していきたい。
●日常使う営業ツール.......... 新人時代に自腹で購入した電卓。足し算や引き算など、基本的な機能しか備えていない。「シンプルだからこそ、使い勝手がいい」とのことで、この電卓を12年以上にわたって、営業活動に欠かせないツールとして携行している。
●上司からのひと言.......... 「永尾君は、行動をきめ細かに計画し、よく動いてくれている。足で稼ぐ営業マンだ。当社では、そういうタイプが少ないので、永尾君は貴重な人材だ。さらに、常に前向きな態度でお客様に接して、トラブルがあっても、それを次のチャンスに生かす。こうしたマインドが、お客様から深い信頼を寄せられる基盤になっている」(サービス事業本部 DCサービス営業部の金田慶春部長)