三井情報(下牧拓社長)は、東日本大震災によるディザスタ・リカバリ(DR、災害復旧)やBCP(事業継続計画)の需要が、今秋から本格的に拡大するとみて、このほど、北海道・札幌に本社を置くほくでん情報テクノロジーなど全国のデータセンター(DC)事業者4社と提携した。各社のDCをDRサイトとして、三井情報が東京エリアで運営しているDCをセットで提案していく。
三井情報がDC事業でアライアンス体制を構築したのは、ほくでん情報テクノロジーのほか、岐阜県の電算システム、大阪府のケイ・オプティコム、沖縄県のファーストライディングテクノロジーの4社だ。三井情報を含む5社は、北海道から沖縄まで、全国各地で合計16か所のDCを運営している(図参照)。提携による第一弾として、8月中旬に、各社DCをDRサイトとしたハウジングやリモートバックアップといった共同サービスの提供を開始した。
三井情報では、DC営業やクラウドサービス営業を担当するサービス事業本部が、今回のアライアンス構築の指揮を執っている。事業本部副本部長の渡辺卓弥氏は、「6~7月あたりから、ユーザー企業がDR対策に予算をつけたり、事業継続を経営課題として捉えるようになった。DR/BCP需要は、今秋から来年に向けて本格的に拡大するとみている」と、提携を組んだ事情を説明する。提携した5社は、サービス開始に先駆けて、7月から共同の提案活動を行っている。三井情報は、基幹系システムをDCに預かっている大手の金融機関など、既存顧客を相手にしてDRサイトサービスの商談を行っており、ユーザー企業の関心が高いという手応えを得ている。
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サービス事業本部 渡辺卓弥副本部長 |
三井情報は今回の提携によって、大きく二つのことを狙っている。一つは、提携した4社との相乗効果を発揮して、各地方のユーザー企業を同社の新規顧客として獲得することである。もう一つは、昨年末に東京都内に開設した「東京西データセンター」を利用したサービスの販売に拍車をかけることだ。都内にあるDCは、震災による直接的な被害は受けなかったものの、単独ではサービスを売りにくくなったことが背景にある。だからこそ、三井情報は、「全国にDRサイトをもっていることを、東京西DCなど当社の都内DCのアピールポイントとして、DCの“セット販売”を行っていく」(渡辺副本部長)という戦略を打ち出したのだ。
三井情報はDCのセット販売によって、DC事業を強化していく。渡辺副本部長は、「DC事業で、15~20%の売り上げ拡大を見込んでいる」と意気込みを示している。(ゼンフ ミシャ)