その他
COBOL技術者の引退問題 問われるソフトランディング
2013/02/07 14:53
週刊BCN 2013年02月04日vol.1467掲載
3月が近づくこの時期になると、IT関連でいつも耳にするのが「COBOL(コボル)技術者の引退問題」である。COBOLはかつての汎用機やオフコンといった、いわゆるレガシーシステムで一世を風靡した事務処理用のプログラム言語で、今でもCOBOLで作成されたソフトウェア資産が大量に残っている。
とはいえ、COBOL技術者を育成し続けることについては、多くのSIerが懐疑的だ。技術の世代交代が激しいIT業界において、「COBOLしかできない技術者の稼働率の低下」(SIer幹部)が長らく頭痛の種になってきたのは事実である。団塊世代に多いCOBOL技術者の引退で、払底感が強まってきたに過ぎないからだ。
こうした構造的な問題はほかにもある。例えば、スマートフォンの爆発的な普及に伴い、携帯キャリアは相次いで高速データ通信に対応するLTE通信設備を前倒しで整備しているが、それでも、「自社内で無尽蔵にネットワーク技術者を増やすのはリスクが大きい」(伊藤忠テクノソリューションズの菊地哲社長)、「ニーズが減少した従来型携帯電話の技術者をLTE関連に振り分けた」(NECソフトの古道義成社長)と、技術者のやりくりに苦心している様子がうかがえる。
時代の最先端を行くLTEですら技術者の配置ボリュームに神経を尖らせる状況のなかで、ましてやレガシーシステムの技術者を今から増やすことは難しい。そこで注目を集めるのが、契約や請け負い、嘱託、個人事業主など非正社員系の多様な働き方をする人材の活用だ。個人事業主約2000人で構成されるユニークな業態のSIerである首都圏コンピュータ技術者は、SIerの団塊社員の大量引退で、逆に技術者の稼働率を高めるための条件が整いつつあるうえ、少なくとも同社全体でみれば、「むしろ人手不足感が強まっており、腕に覚えのある技術者の確保に躍起になっている」(齋藤光仁社長)状態だ。
もう一つのアプローチは、リバースエンジニアリングである。COBOL技術者が減少し続け、レガシーシステムがブラックボックス状態になったとしても、リバースエンジニアリングの技術を用いることで、若手の技術者でもメンテナンスできるようにする仕組みだ。プロトタイプを積み重ねて漸進的な開発を行うアジャイルソフト開発では、メンテナンス用のドキュメントは後づけになることが多く、「リバースエンジニアリングによってドキュメントを整備する」(NTTデータの岩本敏男社長)ケースが増えるとみている。こうした手法はCOBOLにも応用することが可能で、技術継承の一手法として活用できる。
技術者の適正配置とレガシーシステムの維持を両立させ、どうソフトランディングさせるかが問われている。(安藤章司)
3月が近づくこの時期になると、IT関連でいつも耳にするのが「COBOL(コボル)技術者の引退問題」である。COBOLはかつての汎用機やオフコンといった、いわゆるレガシーシステムで一世を風靡した事務処理用のプログラム言語で、今でもCOBOLで作成されたソフトウェア資産が大量に残っている。
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