港区立青山小学校(曽根節子校長)は、ICT(情報通信技術)利活用の拡大を推進している。今年2月に、レノボ・ジャパンの「ThinkPad Tablet 2」31台を導入し、授業で利用している。タブレットを使い、校外で行った取材活動をクラスで報告したり、インターネットで情報を収集したり。幅広い活用によって、児童たちのITスキルを培うことを目指している。
ユーザー企業:青山小学校
東京・港区の区立小学校。創立は1875年。青山二丁目に校舎がある。教育方針の一環として、教育現場でICT(情報通信技術)の利活用に取り組んでおり、生徒の学習意欲の向上を図っている。
プロダクト提供会社:レノボ・ジャパン
プロダクト名:Windows 8タブレット「ThinkPad Tablet 2」
【課題】落としても壊れないタフさが条件

青山小学校
曽根節子校長 「よく考え、進んで学ぶ」という児童を育てることを目標に掲げている青山小学校は、6年ほど前からICTの利活用に取り組んでいる。これまで、メディア教育開発センター(NIME)と日本マイクロソフトが共同展開する「NEXTプロジェクト」やデジタル教科書教材協議会(DiTT)の実証研究に参加。教育現場で積極的にICTを活用し、児童たちの学習意欲の向上を図ってきた。
曽根節子校長は、「6年前までは当校でICTがまったく使われず、私自身も機器に触ったことがなかった」と振り返る。しかし曽根校長は、子どもの将来にはICTに精通するスキルが不可欠だと考えて、授業でのICTの利活用に踏み切った。「この6年間の取り組みを通じて、児童たちは自分のペースに合わせて学習することができ、『一人で問題を解決することができた』と自信をもつようになった」と満足げだ。
青山小学校は、これまでの成功を踏まえ、ICT利活用の拡大を決定。今年2月から4か月の間、コンピュータ利用教育を専門とする信州大学教育学部の東原義訓教授から指導を受けて、タブレットを用いる「21世紀型スキル育成授業」を開催することを決めた。そして、タブレットの端末に選んだのは、OSにWindows 8を採用するレノボ・ジャパンの「ThinkPad Tablet 2」だ。
曽根校長は製品選定にあたって、端末を落としがちな小学生が使うことを考慮して、きょう体の堅牢性を重視。軽量でも壊れにくい「ThinkPad Tablet 2」に着眼した。今年2月に同端末を31台導入し、現在、授業で活用中だ。
【解決と効果】校外活動をクラスで報告する
「21世紀型スキル育成授業」は、ICTを活用するコミュニケーション力の育成を中核の目的とする。青山小学校は現時点で「ThinkPad Tablet 2」をテスト的に使用しており、4年生・特別支援学級の生活単元学習と5年生・普通学級の社会科授業で使っている。
例えば、4年生・特別支援学級の生活単元学習では、生徒たちはタブレットを東京・上野の国立科学博物館に持ち出し、写真を撮影したり、展示物を見た感想を記録。学校に戻って、タブレットを“メモ帳”にして自分の活動を報告した。一方、「工業生産と貿易」について学んでいる5年生・普通学級の社会科授業では、インターネットで自動車産業について情報を収集し、クラスで取材内容を交換するのにタブレットを活用している。曽根校長は、「ペンによる入力ができることも『ThinkPad Tablet 2』を選定した理由の一つ」と強調。生徒たちは、ペンに慣れているので、自然な感じで入力操作を行うことができるからだ。
しかし、タブレットの活用にあたって、課題も残っている。校内でインターネット接続に必要な無線LANの環境が十分に整っていないことがネックとなっているのだ。場所によって、無線LANへの接続がうまくいかず、インターネットにアクセスすることができない問題が発生しているという。そこで曽根校長は、「港区に働きかけて、無線LAN環境を強化する必要性を訴え、アクションプランを立ててもらうことを促していく」と、積極的に課題解決に取り組む姿勢をみせている。
青山小学校は、「21世紀型スキル育成授業」の展開とともに、タブレットを算数の授業でも使うなど、幅広く活用することを目指している。導入台数は31台なので、いつどこで誰が使うかを細かく調整する必要がある。
曽根校長は、「生徒一人に端末一台を支給するのが理想。しかし、いくら国が学校のICT化を進めるための予算を拡大しても、公立学校としては非現実的な話だ」と指摘。実情を勘案して、「31台のタブレットを何とかうまく活用し、子どもたちがわくわくしながら学べる授業にしたい」としている。(ゼンフ ミシャ)
3つのpoint
堅牢性にすぐれたきょう体
ペン入力で手軽に記録ができる
児童の学習意欲の向上につながる