日本IBMなど大手ITベンダーが開拓に力を入れ、注目を浴びている西日本のIT市場。このコーナーでは、今号から4回にわたって、西日本で活躍する凄腕の営業パーソンを紹介する。地域で成功する秘訣は何か。今回は、ネットワンパートナーズでストレージなどの営業を担当する石井慶太さんが、自らの営業スタイルを語る。(構成/ゼンフ ミシャ 写真/長谷川博一)
[語る人]
●profile..........石井 慶太(いしい けいた)
2008年、甲南大学文学部を卒業した後、ネットワンシステムズに入社。地域事業グループ 地域事業本部 西日本第1営業部 営業第3チームに配属。製造業を中心として、大手エンタープライズを担当してきた。09年5月、ネットワンパートナーズの西日本営業部に出向。関西地区を中心とする大手システムインテグレータの新規獲得からスタートし、現在は九州・沖縄の顧客を中心に担当して飛び回っている。
●会社概要.......... ネットワングループのディストリビュータ。ICT(情報通信技術)製品をシステムインテグレータに提供する。設立は2008年。従業員数は161人。
●所属..........西日本営業部
●営業実績.......... ストレージの案件を中心に獲得し、2010年から毎期連続、西日本営業部トップの業績を上げている。
●仕事.......... 関西地区のほか、九州と沖縄にある大手システムインテグレータ(SIer)の拠点に、シスコシステムズなどのIT製品を提案する。メーカーと密に連携し、充実したサポートを提供することによって、SIerの業務の負荷を軽減することを目指す。最近は、ネットワーク機器とストレージに加え、サーバーも組み合わせた統合的な提案に力を入れている。
Facebookで現在地を発信
お客様に「できるヤツ」という印象を与えて、信頼関係を築くために、日ごろからスマートな身なりを心がけている。そして、営業パーソンとしては少し勇気を要するが、インパクトを強く打ち出すために、髭を生やしている。髭は、商談に入る前に雰囲気を柔らかくするための雑談ネタにもなるので、“営業ツール”としての効果を発揮している。
お客様に「石井さんに営業に来てほしい」と言われるのが何よりうれしい。もともと、自分の個性を売りたいと思って、営業職を目指したのだ。現在は、大阪だけでなく、九州・沖縄も担当している。毎日のように飛行機に乗って、各地に足を運ぶ。西日本の夏は暑いので、今の季節はノーネクタイ・ノージャケットで動いている。
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2009年5月、設立されたばかりのネットワンパートナーズ西日本営業部に出向することになった。「なんで入社2年目の自分が関西ビジネスの立ち上げメンバーに」と、最初は疑問に思っていた。しかし、関西の上司がすごく明るい人だと知って、その上司の下なら頑張りたいと思うようになった。
4人体制でゼロからスタートし、まずはお客様の獲得に取り組んだ。ネットワンパートナーズの強みは何か。在庫をもっていて納期が短いのは、ほかのディストリビュータも同じだ。納入後の充実したサポートこそが当社の武器と考えて、関西地区のシステムインテグレータを回り、当社のサポート力を懸命に訴えた。
大阪では、お客様と商談するときに、互いに隠しごとをせず、本音で話すのが常道だ。だから、商談を進めるのが楽だと感じている。値引き交渉を好む大阪人だから、「もうちょっと負けてんか」と価格を下げるように要求されることもあるが、「この値段では、うちの儲けがかつかつで……」と正直に伝えれば、「よっしゃわかった。ほんなら次は頼むで」という調子で、値引きなしで注文をいただくことが少なくない。
午前6時に起きて、伊丹空港から朝一番の便で福岡や那覇などお客様のもとへと向かう。現地で3~4件の訪問をこなし、その日の最終便で大阪に帰る。そんな日常で、Facebookに自分の行動を投稿し、お客様にどこにいるかを発信するのを日課にしている。こうして、例えば大阪のお客様に対して「今日は九州にいるから対応が難しいです」と暗黙のメッセージを送り、口に出して言いにくいことをFacebookをうまく活用して伝えている。