今年から来年にかけて、中堅・中小企業のIT投資が活発化することが予測され、ITベンダーは市場開拓に動き出している。とくに、モバイル端末の業務利用の普及が追い風となって、ネットワーク機器の置き換え需要が旺盛だ。そんな状況にあって、シスコシステムズの製品を中心に、IT機器の1次販売を手がけるネットワンパートナーズ(齋藤普吾社長)は、ミッドマーケット市場を攻めようとしている。モバイルでの活用に最適化したスイッチ新製品「Cisco Catalyst 3850」を商材に、中堅企業の開拓を狙う。

プロダクト営業部
古賀良孝部長 IDC Japanが行ったユーザー企業への調査によれば、従業員数999人以下の中堅・中小企業の39.7%は、「2013年度、IT支出予算を増加する」と回答している。さらに、14年度は、前年度比3~10%程度と積極的にIT投資を増やす企業の割合が高まる見込みだ(図参照)。ここ1~2年、中堅・中小企業は注目すべき市場となる。
IDC Japanは、IT投資の重点項目として、ネットワークやモバイル端末を使ってコミュニケーションを行う「社内情報共有」の優先度が高いと分析している。
そんななかにあって、これまで主に大手のシステムインテグレータ(SIer)をターゲットに据えてきたネットワンパートナーズは、従業員1000人前後のユーザー企業に強い中堅SIerに攻勢をかけようとしている。
中堅市場を開拓するための商材は、シスコシステムズがこの2月に発売したスイッチ「Catalyst 3850」だ。この製品は、前機種と同じ価格設定ながら、有線ネットワークと無線ネットワークを物理的に単一のインフラストラクチャに統合する機能を備えている。アクセスの一本化によって、パソコンだけではなく、スマートフォンなどのモバイル端末からも社内ネットワークにアクセスすることに最適化したわけだ。
シスコシステムズによると、日本市場に先駆けて12年12月に米国で投入した「Catalyst 3850」の販売台数は、4月中旬時点でグローバルで4500台に上り、順調なスタートを切ったという。パートナービジネス担当の白 雲プログラムマネージャは、「日本の営業部隊も、金融機関や製造業のお客様から『同じ価格であれば、置き換えたい』という感触を得ている」と満足げだ。
「Catalyst 3850」の前バージョンの機種である「Catalyst 2960-S」は年間18万~20万台を売り、「Catalyst 3750-X」は年間4万~6万台と、いずれも国内で高い販売実績を上げている。今後、ネットワンパートナーズが目指すのは、これらの置き換え需要である。
ネットワンパートナーズは1次販売店なので、市場を開拓するためには、中堅企業を得意とするパートナーの開拓が不可欠だ。「Catalyst 3850」の展開を担当するプロダクト営業部の古賀良孝部長は、「現在、中堅に強いメーカー系SIerとの商談を進めている」と、パートナー開拓に向けた直近の動きを語る。
同社は、ディストリビュータでありながら技術力を武器としている。60人ほどのエンジニア部隊を抱えており、スイッチの設計や構築は自社で手がけて、パートナーは保守サービスなどサービス系にリソースを集中するなど、SIerとの役割分担を提案している。今年中に販売体制を築き、ミッドマーケットの開拓によって、売上高を現在の約155億円から、2015年度までに250億円に引き上げる。IT投資が活発な中堅市場の需要をいち早くものにする構えだ。(ゼンフ ミシャ)