BCN(佐藤敏明社長)は、9月19日、SIer向けのビジネスセミナー「システムインテグレーション崩壊の危機!? 既存SIビジネスの限界とクラウド時代を生き抜くこれからのITの売り方とは」を開いた。「クラウドを活用した新たなビジネスの創出」をSIerに提案することを主旨とするイベントで、ITコンサルティングサービス会社やITベンダー、調査会社から講師を招き、複数のセッションを用意。会場に集まった100人を超えるSIerの関係者は、約3時間のセミナーに最後まで熱心に耳を傾けた。(取材・文/木村剛士)
従来型SIからの脱皮を提案

ネットコマース
斎藤昌義代表取締役 最初のセッションに登場したITコンサルティングサービス会社のネットコマースの斎藤昌義代表取締役は、「システムインテグレーション崩壊の危機!! ポストSI時代のビジネス戦略とは?」をテーマに講演した。
斎藤代表取締役は、「クラウドの登場につれて、顧客の要望に沿って一からウォーターフォール型で開発するかたちのシステム構築は、ユーザーに受け入れられなくなって縮小する」と断言。「SIerが生き残るためには、新たなビジネスを創出することが急務」と訴え、クラウドの活用を提案した。「SaaS、PaaS、IaaSなどのいくつかのクラウドがあるが、まずはどんなものであれ、クラウドに関わることが重要」とした。
そして、クラウドを活用したITサービスベンダーは「『クラウドプロバイダ』『クラウドアダプタ』『クラウドインテグレータ』の3種類に区分けできる」と主張した。斎藤代表取締役が言う「クラウドプロバイダ」はIaaSやPaaS、SaaSを提供するベンダーで、「クラウドアダプタ」は「クラウドプロバイダ」が提供するサービスでは足りない機能を提供するベンダー。「クラウドインテグレータ」は、いくつかのクラウドをユーザーの要望ごとに組み合わせて提供するITベンダーを指すという。このなかで、「『クラウドインテグレータ』は従来型SIとビジネスモデルが似ており、SIerが最も適用しやすいかたち」と斎藤氏は推奨した。また、「安価で迅速にITリソースを調達できるクラウドを利用することで、これまで資金力のある大手しか提供できなかったサービスを、中堅・中小のSIerでも手がけることができる」と、中堅以下のSIerに向けてエールを送った。
NCIがIaaSサービスを解説
続いて、エヌシーアイ(NCI)の下野昭一・サービス企画部部長が登場した。NCIは1997年に設立された日商エレクトロニクスグループのITベンダー。システムの監視・運用代行サービスから事業を始め、その後に業容を拡大し、クラウドビジネスに参入。IaaSベンダーとして頭角を現している。横浜と大阪、石狩にデータセンター(DC)を設置してIaaSを展開。大阪と石狩のDCは、10ギガビット、L2ネットワークで結んでいる。
下野部長は、プライベートクラウドブランド「ZETA Cloud」を中心に、NCIがもつサービスを紹介した。「3拠点にDCを設置し、万一どこかで災害が起きても、ほかのDCでユーザーの貴重なデータやシステムを守ることができるのが当社の強み。また、もともとシステムの運用代行サービスからスタートした会社であり、単なるIaaSの提供だけでなく、運用代行サービスもセットで提供できることが差異化ポイント」と説明した。
下野部長は自社サービスの内容を説明した後、会場に訪れたSIerに協業を提案。「プライベートクラウドと運用をセットにして提供することで、SIerはクラウドを始める時に、アプリケーションソフトの開発など、本業に集中することができる。パートナーの要望に添って柔軟に協業プランを考えるので、ぜひ相談してほしい」とした。
PaaS、IaaSは急成長分野
NCIのセッションの後に登場したのは、ミック経済研究所調査第二部の佐久間尚基研究員で、ITサービス市場の調査結果を解説した。「クラウドはSaaS、PaaS、IaaSのすべてがユーザーの業種を問わずに受け入れられ、安定成長する。なかでもPaaSとIaaSは、成長率が高い」とし、2019年まで右肩上がりで伸びることを実数値を交えながら話した。
最後のセッションでは、NCIのパートナーとしてトランスコスモスが登場。システムインテグレーションサービス部の坂祥明部長代理が、大手証券会社のコーポレートサイトリニューアルプロジェクトを、NCIのクラウドを活用して成功させた事例を紹介した。「NCIは私たちの要望にきめ細かく対応してくれた」と、NCIとの協業が競争力の向上につながっているとした。
今回のセミナーは、定員の2倍以上の申し込みがあった。抽選で選ばれたITベンダー関係者は、4セッション合計で3時間のプログラムに最後まで聴講し、従来のSIビジネスから脱皮し、新ビジネスに取り組もうと考えているITベンダーが多いことを印象づけた。

(左から)エヌシーアイ 下野昭一部長、ミック経済研究所 佐久間尚基研究員、トランスコスモス 坂祥明部長代理