パラレルス(土居昌博代表取締役)は、パートナー企業やユーザー企業を対象とするプライベートイベント「Parallels Summit 2013 Japan」を9月27日に開催した。クラウドサービスについて、米国と比べて日本企業の導入が少ないことを「開拓の余地がある」と判断し、とくにSMB(中堅・中小企業)に普及させることを訴えている。サービスプロバイダなどクラウド関連事業者が、ビジネスの拡大を図るうえでパラレルス製品を使うことが優位につながることをアピールした。(取材・文/佐相彰彦)

(左から)日本マイクロソフト 野中智史本部長、
米パラレルス バーガー・スティーンCEO、
パラレルス 西澤真事業部長
イベントではスポンサー企業による展示ブースも用意2016年に2560億円まで市場が拡大
イベントでは、まず基調講演で米パラレルスのバーガー・スティーンCEOが登壇。スティーンCEOは、「当社は日本市場を重要視している」と前置きしながら、「SMB向けクラウドサービス市場を拡大するには、パートナー企業との協業強化がカギ」と強調した。
日本法人は2006年に設立してから、パートナー企業の獲得に力を入れてきて、今年9月の時点で50社に達した。ホスティング事業者を中心にSIerなどともパートナーシップを組んでいるという。そのほとんどが同社の製品を導入してクラウドサービスに着手している。また、ISVが参加するパラレルスの開発プログラム「APS(アプリケーションパッケージングスタンダード)」で実現したアプリケーションを提供。「SMBがクラウドサービスを導入するためのエコシステムが確立しつつある」と自信をみせた。
クラウドサービスの提供が順調に拡大しているサービスプロバイダには共通したものがあって、「関連した複数のサービスを提供することで、1ユーザー企業あたりの単価を引き上げている」という。市場拡大の可能性が高まっていることからも、「SMBのクラウドサービスの利用は間違いなく広がっていく。当社とパートナーシップを組んで、ビジネス拡大につなげてほしい」とアピールした。
関心が高く伸びる要素が大きい
次に、パラレルスの西澤真・サービスプロバイダビジネス事業部長が、「Parallels SMB Cloud Insights 日本版 2013~中小企業向けクラウドサービス市場のトレンドと今後のビジネスチャンスについて」と題して講演した。「Parallels SMB Cloud Insights 日本版 2013」は、SMBのクラウドサービスの利用状況を把握するためにパラレルスが独自に調べたものだ。その調査によれば、SMBによるクラウドサービスの利用は、2009年の時点で1社あたりの平均が1個だったが、13年に平均2.5個に増加、16年に平均5.1個にまで膨れ上がるという。
これを踏まえて、パラレルスではサービスプロバイダ向けプラットフォーム「Parallels Automation」やサーバー/アプリケーション管理製品「Parallels Plesk Panel」などを提供。「サービスプロバイダがSMB向けクラウドサービス事業で収益を上げることができるように支援している」と訴えた。
ほかにも、このイベントのスポンサー講演として、日本マイクロソフトの野中智史・ホスティングサービスプロバイダービジネス本部長が登壇し、クラウド事業の取り組みについて説明。野中本部長は、「SMBの約40%がクラウドサービスを利用するとの見方があることから、当社では、お客様が利用したいときに利用できるクラウド環境をつくっていく」とした。
このイベントは、講演だけでなくスポンサー企業が新製品・サービスを披露する展示ブースや、密に商談できる懇親パーティなども用意しており、参加者にとって有益な環境を整えている。パラレルスの土居代表取締役は、「ベンダーやユーザー企業の交流の場を設けて、クラウドサービス市場の活性化につなげていきたい」との考えを示している。