日本IBMからx86サーバー事業を引き継ぐ会社として、この10月に営業を開始したレノボ・エンタープライズ・ソリューションズ(LES、ロードリック・ラピン社長)は、「ハイブリッドクラウドありき」の提案を方針に掲げ、国内のクラウドプロバイダとの提携を拡大しようとしている。価格を抑えながら、IBM品質を保ったレノボのサーバーを「ハイブリッドクラウド」のインフラとして売り込み、サーバー事業の売上規模の倍増を狙う。(ゼンフ ミシャ)
ショーケースで導入を促す

レノボ・ジャパン
瀧口昭彦
執行役員専務 レノボ・ジャパンで法人事業本部を率いる執行役員専務を務め、LESの取締役執行役員を兼務する瀧口昭彦氏は、サーバー事業の売上拡大について「現状の倍くらいはいきたい」との目標を明らかにした。日本IBMの営業・技術リソースを統合して設立したLESを部隊として、クラウドプロバイダへの売り込みに力を入れる。基幹システムはオンプレミスで構築し、それ以外の顧客向けサービスなどはパブリッククラウドを活用するという「ハイブリッド」の需要が旺盛になりつつある状況にあって、クラウドプロバイダを有望な売り込み先に据え、事業拡大に動く。
11月17日、「クラウド・ショーケース」と呼ぶ取り組みを開始した。LESもオフィスを構える東京のJR秋葉原駅近くのレノボ・ジャパンの新本社内に、デモスペースを設置。インターネットイニシアティブ(IIJ)やNTTコミュニケーションズ(NTT Com)など、国内クラウドプロバイダのサービスに、レノボのモバイル端末やサーバーを追加したハイブリッドな業務改革型ソリューションを体感できる場を設けている。ショーケースで「見せ方」に工夫を凝らし、ユーザー企業の経営層や事業部門に導入の決断を促す。ハイブリッド型の案件が活性化すれば、クラウドプロバイダにインフラとして提供するサーバーの販売拡大につながるだけではなく、ユーザー企業向けのモバイル端末/オンプレミス用サーバーの販売も伸びるので、二重の効果を生むことになる。
“ロッドの判断”で販社を巻き込む

LES
小林泰子
取締役執行役員 日本IBMのx86サーバー事業のレノボ・ジャパンへの移行とLESの設立は、提案できる商材が広がるという意味で、販売会社に大きなインパクトを与えそうだ。両社はこの10月、レノボ・ジャパンとLESでパートナー向け営業を担当する体制を統合し、およそ50人のチームを走らせている。主にパソコン販売で培ったレノボ・ジャパンの既存顧客にサーバーを、x86サーバーの既存顧客にはパソコンを提案するという「クロスセル」を開始し、パートナーと密に連携して提案活動を加速しているところだ。
レノボは全世界でx86サーバーの統合を行っているが、実は、パートナー体制の構築に力を注いで、販売会社を巻き込むことに関しては、「日本が最も先行している」(LESの小林泰子・取締役執行役員)という。長年、日本で活動し、国内市場の独特な商慣習などに精通する「ロッド(ロードリック・ラピン社長)の判断で」(同)、パートナー重視の方針を打ち出し、レノボ・グループのバイスプレジデントを務めるラピン氏の調整力を生かして、本社の承諾を得ることにこぎ着けたとみられる。
レノボ・ジャパンとLESの方針の成否は、モバイル端末やサーバーをインフラとし、アプリケーションなどによって、いかにユーザー企業のビジネスに役立つ「高付加価値」を提供することができるかにかかっている。価値を創出することについては、まさにパートナーの腕の見せどころだ。
米国では、ライバルのアップルがIBMと手を組んで、データ分析などの技術をiPadで届ける取り組みを進めている。レノボとしても同じような提携に踏み切るかについて、レノボ・ジャパンの瀧口執行役員専務は、「大いに考えられる」として、ITの新しい提供の仕方に動くことをほのめかす。