インテルは4月、法人向けの「第5世代インテル Core vPro プロセッサー(第5世代Core vProプロセッサー)」の報道向け発表会を都内で催した。このプロセッサは、PCの管理性とセキュリティ性能を高める機構が組み込まれているのに加えて、オフィス環境のワイヤレス化を促す機能が用意されている点が特徴だ。モバイル端末のビジネス利用が一般化するなか、インテルでは、仕事環境の進化を加速させるプロセッサとして、第5世代Core vProプロセッサーの普及を図る。(取材・文/佐相彰彦)
アイデアを創造する職場環境が必要

インテル日本法人
江田麻季子
社長 インテル日本法人の江田麻季子社長は、第5世代Core vProプロセッサーの記者発表会の席上、話をこう切り出した。
「今や、ビジネスでモバイル端末を利用するのが、あたりまえの時代。本当の意味で、いつでも、どこでも仕事ができる環境を整備することが、企業競争力の向上には不可欠であり、オフィス内のさらなるワイヤレス化が強く求められている」。
第5世代Core vProプロセッサーは、そんな時代のニーズを満たすために開発された。性能向上と省電力化が図られ、このプロセッサを採用したノートPCは、4年前のノート PCに比して、最大2倍のバッテリ駆動時間と2倍強の性能を発揮するという。また、このプロセッサの採用で、ノートPCのコンパクト性も高められ、4年前のノートPCに比べて、最大3分の1の薄さと50%の軽量化も可能になるとされる。さらに、「インテル Pro ワイヤレス・ディスプレイ(インテル Pro WiDi)」機能のサポートにより、ディスプレイとPCとの有線接続が不要になり、プレゼンテーションルームや会議室のワイヤレス化が促進される。
このほか、第5世代Core vProプロセッサーによって、ノートPCと「インテル ワイヤレス・ドッキング」がワイヤレスにつながる。これにより、ノートPCの利用者がワイヤレス・ドッキングの近くまで端末を持って移動するだけで、ワイヤレス・ドッキングに接続されているマウスやキーボード、ディスプレイとのノートPCとの接続が確立され、オフィスのロケーションフリー化が大きく進展することになると、インテルは主張している。
ワイヤレス化で生産性を高める

米インテル
トム・ガリソン
副社長 今回の記者会見では、米インテルのトム・ガリソン コンピューティング・クライアント事業本部副社長兼ビジネス・クライアント・プラットフォーム事業部長も演壇に立ち、第5世代Core vPro プロセッサーがもたらす「職場環境の変革の効果」をアピールした。
「社内のワイヤレス環境を整備することで、社員がノートPCで業務を始めるまでの時間を減らせる。これは、社内の生産性と創造力の底上げにつながることだ」と、ガリソン副社長は語り、こうも続ける。
「よりよいアイデアは、複数の良質なアイデアがぶつかり合い、結びつくことによってもたらされる。そのための土台を築くには、一人ひとりの社員がアイデアを練る時間を増やすのはもとより、自由闊達なコミュニケーションを可能にする環境も用意しなければならない。第5世代Core vProプロセッサーは、そうした環境を具現化するキー・テクノロジーの一つだ」。
ガリソン副社長によれば、先進的な企業は、すでに職場環境の変革による実利を手にしつつあるという。例えば、自席を廃したロケーションフリー化によって、オフィスの省スペース化と固定費削減が実現されたり、異なる部門間でのコミュニケーションが活発になり、それが売上増に結びついたり、といった格好だ。
「日本では、『シマ』と呼ばれる集合体に自席があるというオフィスが少なくない。それを変えるだけで、社員の仕事のやり方が劇的に変化し、さまざまな効果が企業にもたらされる可能性が高い」と、ガリソン副社長は語気を強める。
インテルの製品発表会はこれまで、新製品の技術的な説明に終始するケースが少なくなかった。しかし今回は、新技術のアピールよりも、ワークスタイル革新の重要性・必要性の訴求に多くの時間を割いている。PC用のプロセッサも、技術ではなく、コンセプトで売る。そんな時代に突入しているのかもしれない。

発表会では「第5世代インテル Core vProプロセッサー」を搭載したノートPCが展示されていた