ネットワールドは、7月10日、東京・品川の東京コンファレンスセンターで、「Networld Fes 2015(ネットワールドフェス2015)」を開催した。「パブリック」「プライベート」などクラウドの最新技術やオンプレミスを組み合わせたハイブリッド環境、話題の製品・サービスなどをセミナーや展示会場で紹介した。また、宇宙飛行士の山崎直子氏やドローン開発の日本の第一人者である千葉大学大学院工学研究科の野波健蔵・特別教授による特別講演も好評で、会場を埋め尽くした約1500人の参加者の満足度は高く、大いに盛り上がっていた。(取材・文/木村春生(フリージャーナリスト))

出展企業の新しい製品・サービスを体感しようと展示会場は多くの来場者で賑わっていたクラウド事業者と協力

ネットワールド
森田晶一
社長 6月25日の大阪会場に続き、東京で7月10日に開催されたNetworld Fes 2015。ネットワールドとパートナー企業によるセミナーや、隣接する展示会場で50社以上の製品やサービスが披露された。
イベントの冒頭、ネットワールドの森田晶一社長は、「モバイル/クラウドネイティブなどプラットフォームの進化が、新たなビジネスの場を提供している。だが、将来にわたってビジネスを成功させることは決して容易ではない」と語ったうえで、「何か問題が生じた時、『責任者出てこい』という声に応えられるパブリッククラウドが強く求められる。当社は、責任感のある日本のクラウド事業者と協力していく」と公言。具現化した一つとして、今年2月にディストリビュータ契約を締結した「ニフティクラウド」を紹介した。
ITが宇宙ビジネスを支える

宇宙飛行士
山崎直子氏 クラウドをテーマに、出展企業による最新技術を駆使した製品・サービスの展示やセミナーなどがNetworld Fes 2015の醍醐味だが、もう一つの売りが特別講演だ。特別講演1では、宇宙飛行士の山崎直子氏が登壇し、「宇宙・人・夢をつなぐ~宇宙を夢見た私が感じたこと、そしてこれからの世界~」と題して講演した。
山崎氏は、1986年にテレビでスペースシャトルチャレンジャー号の爆発を目にした時、場合によっては命を落とすことを顧みない宇宙飛行士になりたいと強く思ったという。大学でエンジニアリングを専攻し、1999年に宇宙飛行士となり、11年間の訓練を経て宇宙に行く夢を実現。日本人女性2人目の宇宙飛行士として、2010年に国際宇宙ステーションに15日間滞在した。
その経験について山崎氏は、「スペースシャトルディスカバリー号に搭乗し、いざ打ち上がってしまうと地上から400kmの宇宙到達まで、たったの8分30秒。拍子抜けするぐらい、あっという間だった。宇宙空間に到達すると、それまでの3Gの加速にブレーキがかかり、体がふわっと宙に浮く。その感覚は何か懐かしい感じだった」と語った。また、宇宙ステーションではバーコードによる大量の物資管理、HTMLで電子化されたマニュアルなど、ITが貢献し、ある程度の部品は3Dプリンタで自作できると説明。「人とコンピュータが相互補完し、運用している」とITの役割を述べた。
講演の後半には、これからの宇宙開発について語った。約4000基の超小型衛星を打ち上げて地球規模の無線通信サービスに参入する米宇宙開発ベンチャーをはじめ、スペースデブリ(ゴミ)除去ビジネス、スペースシャトル後の有人宇宙船、宇宙旅行や宇宙エレベータ、民間で月面探査に挑戦する日本の「HAKUTO」など、「プレーヤーの拡大で、宇宙開発も従来の国から民へと主体が変わろうとしている」と宇宙ビジネスの可能性を述べた。そして、「宇宙開発の未来は、ITに関わる皆様の技術によって支えられている」と講演を締めくくった。
ドローンがビジネスチャンス

千葉大学大学院
工学研究科
野波健蔵
特別教授 特別講演2では、千葉大学大学院工学研究科の野波特別教授が登壇。「ドローン開発の日本の第一人者が語る!『無人ヘリが生み出す新たなビジネスチャンス』~AI、ビッグデータ、ロボットの最新活用事例~」と題して講演した。
野波特別教授は、米国でドローン関連市場が拡大傾向にあって2025年頃に10兆円産業になると説明したうえで、「日本でも、今から2~3年後にはドローンがさまざまな場所で活躍することになる」と述べた。農薬散布にドローンが活用されている例があるほか、今後は橋梁やトンネル、工事現場や電力設備、高速道路など、さまざまな場所の点検に欠かせない存在になるという。また、パトカーや消防車など警備や災害の補助役としてドローンを使う場面も多くなるとのことだ。
最後は、空を走るタクシーが出てくるSF映画の映像を流して、空を使うようになれば交通渋滞の緩和につながることを説明し、「将来的には交通手段としてドローンをはじめとした自律飛行型ロボットが活躍する世界があたりまえになることに期待したい」と訴えた。
このほか、ネットワールドが「ハイブリッドクラウドイノベーション」をテーマに講演したり、日本マイクロソフトがハイブリッドクラウド戦略を説明したり、メーカー6社のエバンジェリストによるスペシャルセッションを実施したりと、セッションが充実していたほか、展示会場でメーカーなど出展企業が新しい製品・サービスを披露。Networld Fes 2015では、来場者がクラウドを中心に、さまざまな角度で最新技術や気になる話題を収集している姿を垣間見ることができた。