情報解析ツールやコンサルティングサービスなどを主力商材に据えるVALUENEX(中村達生CEO)。同社は、自社開発の情報解析ツールを使ったコンサルティングサービスの売上比率が高いが、解析ツールを「TechRadar」「DocRadar」という名称で製品化しており、今後は解析ツールの販売を重視。まずは米国市場で拡販し、その実績を生かして日本での知名度を高めていく方針だ。(佐相彰彦)

中村達生
CEO 同社は、コンサルティング会社として2006年に設立。情報解析に関するコンサルティングサービスを提供していくなかで、独自のアルゴリズムとクラスタ手法で大量のデータを高速で処理する技術を搭載した情報解析ツールを開発。現在では、この解析ツールを使ったコンサルティングが、他社との差異化ポイントとなっている。このコンサルティングによって、国内の大手製造業を中心にユーザー企業を獲得。ここ数年、売上高については前年比80%増で推移している。
同社で開発した解析ツールを製品としても販売しているが、日本企業の多くはツールを使いこなすというよりも分析についてはコンサルティング会社に任せるという傾向があり、解析ツールは予想よりも売れていないという。中村CEOは、「製品を販売するノウハウや、会社自体の知名度が低いというのも大きな要因と捉えている」という。
一方、同社のコンサルティング力を聞きつけて問い合わせてきた米国企業に対して解析ツールを提案すると、その多くが解析ツールの購入に前向きになるという。このような状況を踏まえて、今年に入ってから米国で解析ツールを販売する子会社の設立に着手した。中村CEOは、「これまでは日本国内の米国企業に対して提供してきたが、今年秋には本格的に米国で拡販できるようになる」とアピールする。
同社の解析ツールは、類似度の高いデータを俯瞰して直感的に把握、指標化して定量的に解析できることが売りだ。DocRadarは、日・米・中の言語に対応して文書情報を解析。アンケートの自由記述など整理が難しくてビジネス活用ができなかった文書情報を類似度評価して整理・クラスタリングや一覧可視化を可能としている。
TechRadarは、日・米の特許を対象にASPサービスで提供しており、「類似情報検索」と「大量情報の俯瞰解析」という2種類のメニューを用意。関連する特許データを抽出してマップ上に視覚化することで、技術の動向や関連性を分析できる。
米国市場で製品を拡販することによってビジネスを拡大するだけでなく、プラスの効果として期待しているのがVALUENEXの知名度向上だ。中村CEOは、「まずは、米国でブランド力を高めていき、日本で解析ツールの活用があたりまえになりつつある段階で、日本で拡販を図っていく」との方針を示している。また、日本では引き続きコンサルティングサービスを提供していくが、「API提供など、ITベンダーとのアライアンスを積極的に進めていきたい」意向だ。これにより、80%増という現状の売上成長率を維持しながら、「現状で3割にも満たない製品販売の売上比率を3年以内に7割程度まで引き上げる」との方針を示す。アジアやASEANへの進出にフォーカスしてビジネスを拡大する動きが出ているなか、VALUENEXはあえて米国市場を重視して「ワールドワイドで通用するメジャー級の製品へと変貌させる」としている。