週刊BCNは9月29日、日本ワムネット(石澤幸信社長)の協賛、ITコーディネータ協会(ITCA、播磨崇会長)の後援のもと、東京・御茶の水で「週刊BCN厳選!売れる“企業向けオンラインストレージ”~取り扱いパートナー・ユーザーの声からビジネスの本質に迫る~」をテーマにセミナーを開催した。日本ワムネットが提供するファイル送受信・共有サービス「GigaCC」の魅力や、他のオンラインストレージとの違いについて説明。SIerを中心とした参加者は熱心に聞き入った。(取材・文/前田幸慧)

パネルディスカッションのようす(左から、東京大学 大学院 新領域創成科学研究科 藤枝俊輔氏、みずほ銀行 グローバルトレードファイナンス営業部 業務管理チーム 次長 古川聡氏、SCSK 市丸恵美子氏、日本ワムネット 商品企画・マーケティング部 井澤浩一氏セキュリティが最大の魅力
冒頭、週刊BCN編集長の畔上文昭が基調講演を行った。近年のクラウドサービスの導入理由について、情報漏えい対策やマイナンバー(社会保障・税番号)の保管先としてなど、「セキュリティ対策としてクラウドを選択する企業が増えてきている」。また、「今後はIoT(Internet of Things)や人工知能によって、大量のデータを扱う必要性がある」として、データの格納先にオンラインストレージの採用が増えるとの考えを述べた。
続いて、日本ワムネットの石澤社長が講演。GigaCCのサービス内容や選ばれる理由、ユーザーの導入事例などを紹介し、GigaCCの魅力を解説した。
石澤社長によると、GigaCCが選ばれる最大のポイントは「セキュリティ」だという。GigaCCのセキュリティは、「内部からの漏えい防止」「外部からの侵入防止」「アクションのトレーサビリティ」の三重構造で設計されており、「セキュリティの三重構造によって、お客様のセキュリティポリシーに合わせて、運用や設定を柔軟に行うことができる」とメリットを述べた。セキュリティ以外にもさまざまな機能を搭載しており、ユーザーからの要望を踏まえバージョンアップも行うが、「われわれの設計思想は、セキュリティの三重構造にあり、ぶれることはない。『必ずユーザーのデータをお守りする』という理念のもと、機能を充実させている」と、ユーザーが安心してGigaCCを利用できると強調した。
続くパートナーセッションでは、販売パートナーであるSCSKのITエンジニアリング事業本部関西エンタープライズ部の市丸恵美子氏が、同社のGigaCCビジネスの状況と顧客の反響について講演を行った。同社のGigaCC引き合い数は、2014年上期が28件、下期が37件、15年上期が52件と年々増加。現在は新規開拓に注力しており、下期は100件の引き合いを見込んでいる。以前は、大容量のファイル送信を行うことから製造、建設、不動産業界からの引き合いが多かったが、機密ファイルの送信・共有できるサービスへのニーズから、金融、情報通信、製薬などの業界、研究機関からの引き合いが増えているという。また、「大企業向けのセキュリティポリシーにも耐えられる設計となっており、実際に多数の大企業の導入実績もある」と、セキュリティ設定項目の豊富さを評価。「高品質な環境で、高い安全性を保ちながらファイルを共有したいお客様に最適な製品」であると、パートナー視点からGigaCCの魅力を語った。

(左から)日本ワムネット 石澤幸信社長、SCSK 市丸恵美子氏、キャピタルメディカ 青木裕氏ユーザーから絶賛の声
ユーザーセッションでは、キャピタルメディカ 臨床試験サポート部の青木裕氏が登壇。同社では、医師が医療に集中できる環境をつくることをコンセプトに、全国37か所の医療機関や高齢者施設の経営・運営支援を行っているほか、それに伴う医療周辺事業を手がけている。医療周辺事業の取り組みの一つである臨床試験サポートでは、医療機関が作成した診療録(カルテ)から報告書を作成し、製薬会社に提出する。製薬会社は、その報告書にミスがないか確認するために、医療機関に直接訪問しなければならず、人件費や交通費に大きなコストがかかっていたため、「医療機関に行かなくても、遠隔でカルテを確認できる仕組み」を求めていた。そこで、セキュアかつ導入しやすいコストであったことなどから、「(医療機関、製薬会社の)エンドユーザーの信頼を獲得できた」ことで、日本ワムネットのGigaCCの採用を決め、「EUCALIA System(ユカリア システム)」を開発。医療機関が撮影したカルテをGigaCCにアップロードすることで、製薬会社がGigaCC上で、ファイルを遠隔で閲覧できる仕組みを構築した。「システムの専門家と信頼関係・協力関係を築けたことで、EUCALIA Systemをサービス化できた」と、日本ワムネットへの感謝の意を述べた。
プログラムの最後は、パネルディスカッションを実施。モデレータを週刊BCNの畔上が務め、GigaCCユーザーである東京大学大学院 新領域創成科学研究科の藤枝俊輔氏、みずほ銀行グローバルトレードファイナンス営業部 業務管理チーム 次長の古川聡氏、パートナーセッションでも講演したSCSKの市丸氏の3人と、日本ワムネット商品企画・マーケティング部の井澤浩一氏が参加した。
導入前の課題としては、「資料を紙ベースで管理しており、信頼性に欠けた」(藤枝氏)、「別のオンラインストレージ製品を利用していたが、長期保管用のものだったため、毎日のやりとりにかかわる書類管理とは使用目的が異なっていた」(古川氏)、「顧客から、社員が勝手に無料のオンラインストレージを使用している、大容量ファイルのやりとりの際に、USBやDVDで持ち出して、失くしてしまうことが不安、などの声があった」(市丸氏)とさまざま。
導入の決め手としては、「画面が直観的でシンプル。また、ファイルへのアクセス権限をもたない人とファイルを共有する際の例外対応がやりやすい」(藤枝氏)、「導入時期と予算に間に合い、要望を満たすのがGigaCCだった」(古川氏)、「細かく柔軟なセキュリティ設定が可能」(市丸氏)などがあがった。 ほかにも、導入後の現場からの声や、井澤氏による導入の裏話などの話もあり、参加者は聞き入っていた。