アプレッソ(小野和俊社長)と週刊BCNは2月24日、セゾン情報システムズ(宮野隆社長)協賛、ITコーディネータ協会(ITCA、播磨崇会長)後援のもと、東京・大手町で「IoT時代に求められる先進のデータ連携セミナー~『攻めのIT』に必要なデータの収集・蓄積・活用を先進事例も交え解説~」をテーマにセミナーを開催した。各講演者がIT業界やデータ連携ツールのトレンドを解説するとともに、IoT時代に活用するデータ連携ツールとして、同日リリースされたアプレッソのEAIソフトウェア「DataSpider Servista」の最新バージョン「DataSpider Servista V4」を紹介。セミナーの参加者たちは熱心に聞き入っていた。(取材・文/前田幸慧)
コンピューティングの革命が起きている

アプレッソ
小野和俊社長 セミナーの冒頭では、主催者を代表してアプレッソの小野和俊社長が挨拶。
今回のバージョン4では、「IoT連携プラットフォーム」をテーマに、IoT時代に必要とされる機能を強化した。「データ連携のシステムをつくっていくなかで、IoTシステムとの連携は急速に増えている。このIoTの連携の課題に応える製品をつくろうと、4.0を長い期間をかけて開発した」と背景を説明。また、「IoT時代に必要とされる機能と、DataSpiderをすでに活用されているお客様からの要望には、非常に近いものがある」として、IoTに興味のあるユーザー、DataSpiderに興味のあるユーザーの両方を満足させることができると自信をみせた。

アクアビット
田中 栄社長 続いて、アクアビットの田中栄社長が登壇。『未来予測2016ー2030~コンピューティング革命としての「クラウドロニクス」~』をテーマに基調講演を行った。田中社長によると、現在、社会は構造的に変化しており、とくに大きな変化は「クラウド」であるという。なかでも、クラウドサービスとエレクトロニクス(センサ、デバイスなど)が一体となっていることを「クラウドロニクス」と表現。これからはクラウドロニクスが産業の土台となって、さまざまな産業の一部がデジタルサービス化して重なり合い、「クラウドロニクス・サービス産業群」と呼ぶべき新たな産業形態を形づくっていくと解説。田中社長はこれを「全産業に影響をもたらす、まさに『コンピューティングの革命』だ」と語り、社会が変わることで求められるビジネスも変わっていくと強調した。
IoT時代に求められる機能を搭載

アプレッソ
プロダクトストラテジスト
友松哲也氏 セッション1では、「IoT時代のデータ連携トレンド・最新事例」と題して、アプレッソの友松哲也・プロダクトストラテジストが講演した。IoTがトレンドとして注目されているが、あらゆるモノがインターネットにつながる必要があるのか、友松プロダクトストラテジストは「本当に必要なのはイノベーションであり、IoTによって生まれる価値について考える必要がある」として、ツール自体はモノでしかなく、ツールをいかに有効に使っていくかを考えることがカギだと主張する。
そこで活用できるのが、データ連携ツールだ。今、「IoTによってデータの活用法や、データを扱うシーンが変革を遂げているのではないか」と、友松プロダクトストラテジストは考えを示す。「今まで以上に、データをインテグレーションするプラットフォームが求められていくだろう」として、DataSpiderもプラットフォームとして成長させるために、今後も「親会社であるセゾン情報システムズのプロダクトや、パートナーシップを生かしながらDataSpiderをIoTに使ってもらえるような機能拡張をしていきたい」との方向性を語った。

アプレッソ
事業推進本部 技術部 リーダー
高野 走氏 最後の講演となるセッション2では、アプレッソの高野走・事業推進本部技術部リーダーが登壇し、DataSpider Servista V4の特徴を説明。高野リーダーは、最新サービスを効果的に利用できる環境、大量のデータを高速に処理できる基盤、プロトタイピングを簡単に実現できる開発環境が求められると主張。そこで今回のバージョン4では、これらに対応する機能を強化したという。
具体的にはまず、AWS IoTへの対応がある。今回新たに、「Amazon DynamoDBアダプタ」や「Amazon Kinesisトリガー」の機能を追加し、AWS IoTと他のクラウドサービスやBIツール、分散基盤などとの連携を可能にした。また、日本語と英語のOSをサポートし、クライアントの言語を切り替えられるようになった。「グローバルスキーマ」と呼ばれる新機能によって、「開発生産性の向上だけでなく、変更に強いスクリプトの開発が可能になった」という。ほかにもさまざまな機能を強化しているほか、6月に提供予定の「DataSpider Servista 4.0 SP1」では、Microsoft Azureに対応し、AWSを含めたマルチクラウド連携を可能にする。また、新開発のエンジン「マルチストリームコンバータ」によって、集計/結合/ソートの処理を高速化。「従来の10~15倍程度のパフォーマンス向上を実現している」といい、SP1の目玉であると力を込める。
高野リーダーは最後に、「DataSpider Servistaは『つくる』から『つなぐ』をコンセプトに、さまざまなシーンで使っていただける機能を今後も拡張していく。引き続き期待してほしい」と述べ、セミナーを締めくくった。