デル(平手智行社長)と週刊BCNは、「SIer・ITリセラー必見!『“売りに繋がるIT提案”とは?』商材の選択と協業スキームで実現するビジネス拡大」と題し、6月16日に福岡市、23日に札幌市で両社主催のセミナーを開いた。セッションでは、デルのパートナー事業本部の責任者がダイレクトビジネスからパートナービジネスに大きく舵を切ったことや、同社と一緒にビジネスを展開するメリットなどを語った。札幌会場では、松本光吉・執行役員副社長兼パートナー事業本部長が挨拶に立ち、デルが世界的にパートナービジネスを拡大していることや、最近の買収に伴う今後の組織体制などを説明した。
直販とのコンフリクト解消

パートナー事業本部
パートナーソリューション
開発本部本部長
正田三四郎 氏 セミナーではまず、デルの正田三四郎・パートナー事業本部パートナーソリューション開発本部本部長が「これまでのデル、現在のデル、これからのデル」と題した講演で、昨年から直販主体の販売体制を見直し、販売会社を通じた間接販売に本腰を入れていることや、サーバーやストレージ、ネットワーク、ソフトウェアなど、「エンド・ツー・エンド」で製品を提供できるメリットなどを説明した。
正田本部長は、「デルは、パソコンなどの直販のイメージが強く顔がみえないし、そもそもパートナービジネスをやっているのか、という声をいただく。また、販社からは、直販と競合するケースがあったことへの批判を受けていた」と、これまでのデルのイメージを列挙しながら、実際はパートナービジネスに大きくシフトし体制を整備していることを訴え、デルと一緒にビジネス拡大することを求めた。

執行役員副社長兼
パートナー事業本部長
松本光吉 氏 デルは、米本社の創業者であるマイケル・デル会長兼CEO(最高経営責任者)が主導し、これまでにパートナービジネスに巨額を投資するなどで、間接販売の売上高を大幅に拡大した。また、米EMCを670億ドルで買収するなど、ハードウェア、ソフトウェアなどの製品を拡充している。日本国内では今年1月、初のパートナーフォーラムを開催し、SIerやITリセラーの関係者が約500人集まるなど、業界の期待が高まっている。このなかでは、ダイワボウ情報システムとソフトバンクコマース&サービスの両社ディストリビュータと密に連携することが発表され、パートナー経由で製品を販売する「パートナー協調モデル」を構築したことで、「パートナービジネスのデル」が急速に浸透しているとした。
正田本部長は「直販とコンフリクトしない体制が整備されたほか、パートナー販売を支援する施策を拡充している」と、販社が顧客に提案する際のサーバー構成ガイドや「セールスブートキャンプ」と呼ぶパートナー向け講座の提供、宮崎県にあるカスタマセンターで製品を熟知する正社員がサポートしていることなど、間接販売に必要なパートナー支援策を多数行っていることを説明した。
コンバージドインフラをSMBへ
次のセッションでは、瀧谷貴行・パートナー事業本部ソリューションビジネス開発部長が、「パートナーの皆さまと創るこれからのSMBビジネス」と題し講演した。とくに中堅・中小企業(SMB)向けで旬となっているデルの競争力のある製品を紹介したほか、最近のIT投資動向などを解説した。

パートナー事業本部
ソリューションビジネス
開発部長
瀧谷貴行 氏 瀧谷部長は「デルは柔軟だ」としたうえで、パソコンやIAサーバー、ストレージ、ネットワーク機器、仮想化ソフトといったデル製品が、世界標準技術で構成されるなど、複数社の製品を組み合わせて顧客にITシステムを提供することにより、パートナーと顧客にメリットが大きいと強調した。また、「多くのSMBでは、システムを複雑化したことで運用コストが増え、ベンダーロックインをしているため柔軟性に乏しい」(瀧谷部長)と述べた。
訴求製品としては、Nutanixを搭載したハイパーコンバージドインフラ「Dell XCシリーズ」やシンクライアント端末(VDI)「Dell Wyseシンクライアント」などを紹介。BluePrintソリューションのEngineered Solutionは「電源を入れてすぐに使えるコンセプト」(瀧谷部長)と、システム担当者が不足するSMBにうけている状況を解説。Wyseについては「VDIは、高価であることなどを理由に再検討されている。VDI第2の波がきている」(同)と顧客にいま提案すべき製品として推奨した。札幌会場では、松本副社長が挨拶に立ち、EMC買収に伴う会社組織体制や、パートナービジネスへシフトしていることを改めて強調した。「当社の製品をパートナー経由で販売するだけでなく、販社の製品を一緒にソリューション提供していく」と述べ、エリアや顧客、販社ごとに販売プロセスを整備していることを強調した。