【カリフォルニア発】ネットワークの現状や可能性を議論するイベント「NetEvents Global Press & Analyst Summit」が9月21~22日(米国時間)の2日間、米国・カリフォルニアで開催された。このイベントは、ICT関連ベンダーやクラウドサービスプロバイダ、関連団体などが一堂に介して話題のテーマを取り上げ、参加者が今後の方向性を見つけ出すというのが主な目的で、今年で20周年を迎えた。今回は「IoT & Cloud Innovation」がテーマ。約100人が参加し、さまざまな議論が繰り広げられた。(佐相彰彦)

ネットワーク関連ベンダーが一堂に会した「NetEvents」
NetEventsは、直近の話題について取り上げて参加者が議論するイベントとして定着しているが、20周年という年にテーマに掲げたのが「IoT」「クラウド」だ。これまでは、ネットワークに必要な技術を議論するケースが多かったが、ICT業界のさまざまな技術や概念などにネットワークが切っても切り離せないものになったという点で、今回のテーマが選ばれた。
基調講演ではIoTとクラウドを語るうえで必要な技術「AI(人工知能)」をテーマに二人のキーマンが登壇して、それぞれAIについて考えていることをアピールした。

パネルディスカッションでIoT/クラウド時代におけるネットワークの可能性を議論した
まずは、リアルタイム計算とデータサイエンスの技術を生かした製品・サービスを提供している米ファスト フォワード ラボのキャサリン・ヒューム社長が登場してAIについて説いた。「人間がこれまで考えていたスピードやレスポンスを覆すものであることは確かだが、(人間が)いかに上手に生かして変化に対応できるかが重要になる」とし、AIがネットワークやサイバーセキュリティで、どのように活用されるべきかを訴えた。SF映画では、AIを搭載したロボットが敵を倒すシーンなどがあり、これがシステムの世界でも自動でマルウェアなどウイルスを駆除するかといえば、実際はそうではない。ユーザー企業にベンダーがきちんと理解させながら導入させていくことの重要性を語った。
次に、米サイランスのスチュアート・マクルーアCEOが登壇。「最近では、AIが音声認識やネットワーク管理、サイバーセキュリティを網羅している。加えてデータ収集、アルゴニズムサイエンス、機械学習、パターン認識、ファジィ論理などで、さらに実践的になっている」と訴えた。米サイランスは、AIと機械学習技術を利用したエンドポイント・マルウェア防御製品を提供している。NetEventsの会期中には、セキュリティアプライアンスを提供するウェッジネットワークスが米サイランスとの協業を発表、話題を集めていた。また、IoTとクラウドについて参加者がパネルディスカッションを実施。ほかにも、イベントではIoTやクラウドが台頭しつつあるなか、多くのベンダーが主導権を握ろうとする姿を垣間みることができた。実際に、2日目の基調講演では米デルでネットワーキング・エンタープライズインフラストラクチャ部門を担当するトム・バーンズ・バイスプレジデント兼ジェネラルマネージャーが登壇して、米EMCの買収による「デジタルトランスフォーメーション」「第3のプラットフォーム」などインフラ部分での優位性を強調していた。大手に限らずベンチャーも、新しい時代に市場を凌駕できるとアピールしていたのが印象的だった。