2016年9月21~22日(米国時間)の2日間、ICT関連ベンダーやクラウドサービスプロバイダ、関連団体などが集まって、ネットワークの現状や可能性を議論するイベント「NetEvents Global Press & Analyst Summit」が米国・カリフォルニアで開催された。テーマは「IoT & Cloud Inovation」。大手企業を中心に100人程度が参加し、IoTやクラウドの時代に突入しつつある状況下で自社の強みをアピールしていた。また、ベンチャー企業が市場で主導権を握ろうとしている姿も垣間見ることができた。大手企業と比べると日本では馴じみの薄いベンダーが、今をビジネス拡大のチャンスと捉えて、さまざまな取り組みを進めている。その現状を追った。
Anaplan 「手軽に使える」でBIを普及へ

ベサニー・メイプルズ・
クロッグスタッド・
シニアディレクター 米Anaplanは、BIツールをクラウドサービスで提供している。BIというと、大手企業が活用しているイメージが強く、Anaplanも現段階では大手金融機関が導入しているケースが多いが、「クラウドで低価格という点でSMB(中堅・中小企業)に普及しつつある」とマーケティング担当のベサニー・メイプルズ・クロッグスタッド・シニアディレクターはアピールする。
「手軽に使える」をキーワードに拡販を図っていることに加えて、「操作しやすいという評価を受けて使い続けてくれている」という。ユーザーの利用継続率は95%と高く、既存顧客を確保しながらSMBの新規顧客を開拓していく方針だ。
H3Dynamics ドローンボックスを提供

トム・ラマー・
グローバル
バイスプレジデント シンガポールに本社を置くH3Dynamicsは、エネルギー事業を主力に据えていたが、主力事業を生かしながらドローンの開発に2年ほど前から着手。近く、ドローンとドローンの収納が可能で充電ができるボックスをセットで販売することを計画している。セールスとビジネス開発を担当するトム・ラマー・グローバルバイスプレジデントは、「ドローンは、どんな場所でも動くことが必須になってくる」と、充電が可能なボックスを開発した理由を述べる。
まずは、直販がメインだが将来的にはチャネル経由の販売を検討。製品を提供するのではなく、「OEMのように技術を提供することで広めていく」としている。
NetScout Systems 海外の売上比率を6割に

ジェームス・P・ミクニエル
CMO ネットワークパフォーマンス管理ソフトを提供する米NetScout Systemsは、米国内の売上比率が6割を占めている。海外は現段階で欧州が中心だが、「売上比率を現状の逆にしたい。そのためには、アジアがカギを握る」とジェームス・P・ミクニエルCMOは捉えている。
具体的にアジアの売り上げを増やすため、「OEM提供を拡大していく」との方針を示している。とくに、中国のベンダーとパートナーシップを組みたい意向だ。日本では、複数社とテクノロジーパートナー契約を締結しているほか、日本法人を設立していることから、ディストリビュータ経由で製品の拡販も図っている。
Wedge Networks セキュリティアプライアンスにAIを

フランク・ウィナー・
バイスプレジデント カナダのWedge Networksは、セキュリティアプライアンスを提供している。このほどAI機能を搭載した新製品を発表した。AI機能によって、マルウェアをブロックするほか、今後、出てくる可能性があるマルウェアを予測することで事前に対策を施せるようになるという。新製品を開発するうえで米サイランスと協業した。マーケティング担当のフランク・ウィナー・バイスプレジデントは、「データが飛び交うIoT時代には、一歩先を見据えたマルウェア対策が必要になる」と捉えている。
これまでは、中堅企業を顧客対象としていたが、新製品によって「大企業に対して拡販していく」という。
Javelin Networks ディセプションでサイバー攻撃対策

グレッグ・モリス・
ディレクター 米国・シリコンバレーにオフィスを構えるJavelin Networksの製品は、ディセプション型でサイバー攻撃対策を施している。ディセプションとは、意図的に偽を真のように信じさせること。Javelin Networksでは、偽のデータを複数つくることによって、実際のデータを守る製品を提供している。「つくることができる偽のデータは50個。絶対に破ることはできない」と営業を担当するグレッグ・モリス・ディレクターは自信をみせる。
2014年1月に設立し、現在、15社弱の顧客を獲得している。金融機関やヘルスケア、社会インフラと、業種は広がっている。価格は1台あたり1年間で20ドルからで、「安さを武器に顧客を増やしていく」としている。
Velocloud Networks 「クラウド型SD-WAN」でトップ

マイケル・ウッド・
バイスプレジデント 米Velocloud Networksは、SDNによるWAN制御「SD-WAN」に特化したベンダー。クラウド型で提供している。クラウド・企業アプリケーションへの法人品質の接続を可能にするクラウドネットワーク、柔軟なWANの制御・自動化や仮想サービス配信が可能なことなどで、業界で注目を集めつつある。
マーケティングを担当するマイケル・ウッド・バイスプレジデントは、「SD-WANは、ワールドワイドの市場で2019年に導入率30%に達するといわれている。拡大する市場のなかでトップシェアを獲得する」と鼻息が荒い。日本でオフィスを立ち上げることも検討しており、実現に向けて準備を進めている。