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米シトリックス Citrix Summit 2017を開催「Winning Together」をアピール

2017/02/09 09:00

週刊BCN 2017年02月06日vol.1664掲載

【アナハイム発】米シトリックス・システムズ(米シトリックス)は、1月9~11日(米国時間)の3日間、パートナー企業向けプライベートイベント「Citrix Summit 2017」を米国・カリフォルニア州のアナハイムで開催した。SIerやディストリビュータなどを中心としたシトリックスとパートナーシップを組むベンダーや報道関係者、シトリックス関係者を含めて、世界各国から約4000人が集結。このイベントで米シトリックスは、パートナー企業と「Winning Together(一緒に勝っていく)」というメッセージを積極的にアピールしていた。(取材・文/佐相彰彦)

パートナーシップを重視 新規顧客の開拓を果たす

カルロス・サルトリアス
エグゼクティブ
バイスプレジデント

 初日の基調講演には、まずワールドワイドのセールスとサービスを担当するカルロス・サルトリアス・エグゼクティブバイスプレジデントが冒頭の挨拶を含めて登壇。2016年を総括した。シンプルな戦略を打ち出すなど、基本に立ち返り、新規顧客の開拓やカバー範囲の拡大、パートナーとの協業強化などに力を注いだと説明。

 その成果については、新規顧客として4476社を獲得し、クラウドを995社が利用。カバー範囲の拡大状況は、1814件のトレードアップとフォーチュン500社の99%に浸透したことなどを紹介した。パートナー経由の販売は98%に達し、パートナー企業との協業関係が強化されてビジネスの拡大につながったという。こういった成果を説明し、サルトリアス・エグゼクティブバイスプレジデントは「一緒に勝っていくことが重要」とパートナー企業にアピールした。

キリル・タタリノフ
社長兼CEO

 次に登壇した同社トップのキリル・タタリノフ社長兼CEOも、「昨年は、パートナー企業との協業を強化したことによって成長を遂げた」と強調。そして、17年の戦略について語った。現在、デジタルトランスフォーメーションによってIT活用の範囲が拡大する一方、サイバーセキュリティ対策がますます重要になるなど、ユーザー企業を取り巻く環境が大きく変わりつつある。そのうえで、17年に力を入れていく分野として、「クラウド」「IoT」「モバイル」「AI」「サイバーセキュリティ」を挙げた。

ネットワークとHCIの拡販へ「Azure」連携でクラウド強化も

サンジェイ・カプール
バイスプレジデント

 ビジネスの拡大策として注力していくのが、「Citrix NetScaler」によるアプリケーションデリバリの提案である。ネットワーキングプロダクトマーケティングを担当するサンジェイ・カプール・バイスプレジデントは、「NetScalerは、クラウドとオンプレミスの両方を簡単に管理できることが強み。NetScalerを組み合わせれば、パートナー企業にとってはハイブリッド環境を提供できる」と説明した。

カルバン・シュー
バイスプレジデント

 ハイブリッド環境を提案するには、ハードウェアの強化も必要となる。Citrix Summit 2017では、HCI(ハイパーコンバージドインフラストラクチャ)にフォーカスして、新たなパートナープログラム「Citrix Ready HCI Workspace Appliance Program」の提供を発表。すでに米HPE(ヒューレット・パッカード・エンタープライズ)がプログラムに参加している。プロダクトマーケティング担当のカルバン・シュー・バイスプレジデントは、「仮想化ソフトウェアの『Xen』ファミリーをHCIにバンドルして提供していく。アプライアンスという点で導入・設定が簡単なことからミッドマーケットで新規顧客が開拓できるのではないか」と捉えている。

スティーブ・ブラックロック
バイスプレジデント

 さらに、クラウド関連ではマイクロソフトと「Microsoft Azure」で連携を強化。17年第1四半期中に「XenDesktop Essentials for Azure」「XenApp Essentials for Azure」の提供を開始する計画だ。グローバルストラテジックアライアンスを担当するスティーブ・ブラックロック・バイスプレジデントは、「マイクロソフトとは設立以来の長いつき合い。クラウドが主流になっているなかで、パートナーシップを組むのは自然な流れ。しかも、ミッドマーケットを掘り起こすための最適なソリューションが提供できる」と強調する。

ミッドマーケット事業を拡大 新興国や地方での新規顧客開拓に期待

スタニミラ・コレバ
バイスプレジデント

 「Winning Together」をテーマに据えたこのイベントで、パートナー企業とビジネスを拡大するための領域として重きを置いたのがミッドマーケットでの新規顧客の開拓だ。アジア太平洋&日本のセールスやサービスを担当するスタニミラ・コレバ・バイスプレジデントは、「ミッドマーケットで新規顧客を開拓していくには、クラウドが最適と判断している。とくに、新興国の多いAPACでの需要を期待している」と説明。アジア太平洋&日本のパートナービジネスを担当するパンカジ・ナラヤン・バイスプレジデントは、「日本は、首都圏以外で新規顧客が開拓できるのではないか」と捉えている。

パンカジ・ナラヤン
バイスプレジデント

 1社の製品やサービスですべてのユーザー企業のニーズに応えることは難しい。協業が不可欠だ。改めてディストリビュータやSIerとの関係を深めていきたいという米シトリックスの思惑が、今回のイベントから垣間見ることができた。
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外部リンク

米シトリックス・システムズ=https://www.citrix.com/

シトリックス・システムズ・ジャパン=https://www.citrix.co.jp/