双方にとっての新市場開拓を目指す

 富士ゼロックス(栗原博社長)とfreee(佐々木大輔代表取締役)が業務提携した。両社のプロダクト連携によるソリューションの提供に加え、販売面でも連携する。富士ゼロックスは大手複合機メーカーだが、中堅・中小企業向けの国産業務ソフトの有力販社でもある。これまでウェブマーケティング、インサイドセールスによる直販を貫いてきたfreeeにとって、中堅・中小企業向け市場の開拓に追い風となる可能性が高い。(本多和幸)

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富士ゼロックスの中村達也・市場営業戦略部部長(左)とfreeeの折川 穣・法人事業戦略部チャネル事業統括

 両社の提携の具体的な内容は、大きく三つ。富士ゼロックスの複合機でスキャンした複数の証憑を、PCを経由せずに自動で「クラウド会計 freee」に一括登録する「Cloud Service Hub for freee」をリリースしたこと。富士ゼロックスのドキュメントハンドリングソフト「DocuWorks」を活用し、経理処理の前に発生する承認申請処理などを効率化する「経理業務支援ソリューション for freee」をリリースしたこと。そして、これらの連携ソリューションとfreeeのクラウド業務ソフトの各ラインアップを富士ゼロックスの販売網で全国に販売することだ。

 三つのなかでインパクトが大きいのは、両社の販売面における連携だ。富士ゼロックスの中村達也・市場営業戦略部部長によれば、来年3月末までをめどに、「約300社、1万1000ユーザーの新規獲得を目指す」という。この新規獲得を目指すユーザーとは、具体的には、freeeのクラウド会計ソフトと前述の二つのソリューションのいずれか、もしくは両方を新たに導入するユーザーということになるとみられる。

 freeeの折川穣・法人事業戦略部チャネル事業統括は、「従来の当社の体制では、マーケティング施策で得られるリードはオンラインで得られるものに限られていた。しかし、富士ゼロックスは全国に販売網を構築されている。freeeにとっては今までアプローチできていなかった潜在顧客にアプローチできるようになり、非常にインパクトのある連携だと考えている」と説明する。現状、freeeのユーザー層は個人事業主や小規模企業が中心で、8~9割が30人未満だというが、今回の提携では、昨年6月にリリースした中堅・中小企業向けの「クラウド会計ソフトfreeeビジネスプラン」の顧客開拓に主軸を置く。対象ユーザーは、従業員数が30人~300人規模の企業だ。

 一方、富士ゼロックス側は、クラウドネイティブな業務ソフトベンダーと組むことで、同社のビジネスを「モノ売り」からソリューション提案型に転換する流れを加速させたい考えだ。中村部長は、「先進的なクラウドアプリケーションとの連携ソリューションをつくることは、複合機の価値をさらに上げていくためにも必要な取り組みだった」と話す。さらに、従業員数30人~300人規模の層は、大企業・中堅企業に強い同社にとってはこれまで攻めきれていなかった顧客層であり、その意味でも大きなポテンシャルを感じているようだ。

 ただし、富士ゼロックスは、オービックビジネスコンサルタントやピー・シー・エー、富士通などの国産業務ソフトの有力販社でもある。こうした商材とfreeeの棲み分けについては、「局地的にはカニバリゼーションが起こる可能性は否定できないが、基本的にはそれぞれの顧客層は異なっていると認識している。freeeがラインアップに加わることで、むしろパイは拡大するはずだ」(中村部長)と見込んでいる。